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第二十回 「環境保全と環境破壊−寡欲と強欲の系譜」 | |||
Contents 土地との付合い方 林との付合い方 8 破壊を招いた大規模開発 動物との付合い方 生態破壊の業 |
8 破壊を招いた大規模開発 スマトラ、カリマンタンの沿岸部に広大な泥炭湿地林がある。正確には、あった。泥炭湿地林は瘴癘の地であるが、現地住民は周りの川筋や河口に住んで、賢明な利用を行ってきた。ロタン、ニボンヤシ、沈香、樹脂類、蜂蜜、マレー熊、銘木などを採集・狩猟していた。材木会社も択伐方式で木材資源を保全して来た。感潮帯では潮汐灌漑水田や、園地も開いていた。1960年代以降、世界銀行と官庁テクノクラ−トが近代的開発を指導して、大規模開発を行った結果、泥炭は急速に分解し、下の汽水性堆積粘土が乾いて硫酸を放出し始めた。ジャワ、バリからの政府移民は開拓地と高床家を貰って移住したが、作物が何もできず、離村者が多い。自然と移民の痛ましい破壊に終わった例だ。写真はジャンビ州ブルバックデルタの移民地。水路壁に浮いた黄色の膜は土地全体に広がり、硫酸が放出されている証拠だ。支給された家は高脚がなくなり、藁葺きになり、次第に潰れて行く。 |