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Contents
1. 〈開発〉というもの
2. コトダラム村
3. 好きやねん
4. 〈真昼の闇〉と20世紀の始まり
5. 「年寄りも若返ったとき」
6. 〈クーポン時代〉のヒーローたち
7. イスラーム知識人の誕生
8. 公のために
9. スカルノのインドネシア
10. スハルト開発体制と村落
11. 消費される開発
12. 宴のあとに
13. 〈地域研究〉ということ
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13. 〈地域研究〉ということ
わたしが地域研究という言葉をはじめて聞いてから、もう30年以上が過ぎようとしている。この言葉は当時とは比較にならないほど、現在、日本で定着している。しかし、地域研究がなにかと訊ねられたら、わたし自身どう応えてよいのか、かならずしも定かではない。地域に密着し、地域をとおして、地域を、日本を、世界を考える――これが、とりあえずの、心構えとしてのわたしの地域研究だろうか。今年も10月末から一カ月間、コトダラム村を訪れることになっている。インドネシアの政治・経済の前途も気になるが、その後のコトダラムの経済も心配だ。そして、数年前から一人暮らしとなったティノばあさんのことも気にかかる。いつまで続くかわからないが、これからも当分、コトダラムを訪れるつもりにしている。開発という体験を含めて、わたしたちが生きてきた20世紀という世紀はどのような時間(とき)だったのか、コトダラムという覗き窓をとおして考えていきたい。・・・これは、ある意味で体のよい理由づけであって、一年一度のコトダラム訪問から、精神的活性剤、知的栄養剤をもらっているというのが、より適切な表現だろう。
村を去る前に記念写真。
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