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Contents
1. 〈開発〉というもの
2. コトダラム村
3. 好きやねん
4. 〈真昼の闇〉と20世紀の始まり
5. 「年寄りも若返ったとき」
6. 〈クーポン時代〉のヒーローたち
7. イスラーム知識人の誕生
8. 公のために
9. スカルノのインドネシア
10. スハルト開発体制と村落
11. 消費される開発
12. 宴のあとに
13. 〈地域研究〉ということ
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2.コトダラム村
インドネシアの調査村の名前を仮にコトダラムとしておこう。世界で六番目に大きな島、スマトラ島の中央部内陸地帯に位置する。正確には、リアウ州クワンタン地方の村である。人口は1996年時点で約3100人。稲作とゴム採取を生業とする。リアウの内陸部では昔から河川が主要交通手段とされ、村落も川沿いに展開した。クワンタン地方の村々も例外ではない。1920年代以降、徐々に道路がつくられるにいたるが、リアウで陸上交通が圧倒的に重要になるのは、スハルト時代の1970代後半以降のことである。ただし、コトダラム村の位置する河岸には道路も電気もつうじていない。リアウの州都パカンバルから250キロ南東のパシールでバスを降り、小舟で対岸へと渡ると、あとは40分以上歩いて村に到着する。
スマトラ島、リアウ州、クワンタン地方
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