10.スハルト開発体制と村落
共産主義の駆逐、民主主義の証としての5年ごとの総選挙、外資導入による開発などを明示的な政策として、スハルト体制が出発するのは1967年のことである。1969年には、スハルト体制下での最初の五カ年開発計画が始まった。村落開発援助資金が支給されるようになるのも、1969年のことである。これは、国内の各行政村に同一額の開発援助資金を毎年支給するもので、村長を頭とする村の指導者が村内開発のための資金用途を定め、村人の勤労奉仕、補足資材・補足資金提供のもと、支給金額よりも大きな開発の実を、村レベルのイニシアチブのもとに実現しようとするものである。1970年代、80年代をつうじて、このプロジェクトは実際に村レベルで大きな成果をあげている。コトダラムでいえば、雨期には泥濘と化す村内の小道が、このプロジェクトによって順次コンクリートで舗装された。
スハルト時代には、課外活動の一環として大学生が村に数カ月送り込まれたが、彼らにとっての開発の一表現は、村の小道に名前をつけ、道路標識をたてることだった。
|