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Contents
地域研究への誘い
地域
フィールドワークと直観的観相
<自然地域>の相と<メタ地域>の相
<寄生メタ地域>の暴走に歯止め
1、地域の単位−今西錦司の示唆
1-2、今西錦司の生物社会の見方
1-3、岩田慶治の指摘
1-4、生物のホメオスタシス
2、高谷好一の「世界単位」
2-2、「世界単位」の概念
2-3、腑に落ちない点
3、地球単位
3-2、「地域種社会」と「地球単位」
3-3、<寄生メタ地域>
4、地域研究の存在理由
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高谷好一の「世界単位」
さて、今西錦司の三段構えの構造で、今西独自の概念は種社会であり、これが彼の生物的自然観や今西進化論の中で核心的役割を担う.種個体と生物全体社会の間にあって、生物的自然の秩序と進化を担うのが種社会だ。場に形がある,地域個体があるとする地域論で、類似の構造や種社会に相当する単位はあるのかないのか。
高谷好一の提唱した「世界単位」は種社会相当の概念だろう.脱帽である。世界単位はその表現がすこしずつかわってきているが、最近の表現は次ぎのようになっている。「ひとつの生態の上にはそれに適応した一つの生業が成立するし、そうしたところ住む人達は共通の社会を作り、世界観を共有することになるのではないか、この生態・生業・社会・世界観コンプレックスとでも言いうるものが存在しそうだから、それに目をつけてそのコンプレックスを世界単位と呼んでみよう」。また別の表現では、「社会文化生態力学的に作り出されたひとつのまとまりのある地理学的範囲である」としている。こうしておいて、高谷は世界単位を地図の上に描いていくのだが,現時点では、それらを三つの類型に分類した。生態適応型、ネットワーク型、大文明型である。最近の表現は多点型、ネットワーク型、立体型となっている。第一図は高谷の世界単位である。
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