フィールドワークと直観的観相
文化領域派の考察は文化要素の分布や文化構造の分析に重心が偏る。我々生態環境論講座の者は文化構造の分析などしたくともできないと言う事情もあるが、やるとしても最小限で良いとおもっている。文化要素や社会要素、自然要素を,それぞれ別個に分析して地域が判るのなら、地域研究など要らない道理だ。単一要素に還元するのでなくて、地域の自性開花と変容における自然と精神と制度の絡み合いに注意を集中して、その動態から地域を抽出し、地域間の相克を描き出すことが重要だ。その方法はフィールドワークと直観的観相である。このような試みは直接無媒介的直観知に近いという批判を受けるかも知れないが、踏みつけ道を外れて新たな発見に挑戦することである。その目指すところは要素還元的認識でよしとし、地域を理論形成のための材料におとしめるのでなく、少しでも総合知に近寄ることだ。そして、地域自体を探求の対象にし、地球全体の秩序回復の観点から個別地域、そしてそれらと全体の関係を描くことだ。様々な地域が作る地球全体社会の姿を見通したい。地球という地,個々地域という柄、を同時に見たいのである。
3 中国とインド、西アジアを結ぶ航路の関門を占め、様々な熱帯産物が在るマレー海域は古来多くの異人が来て融合する場であった。とりわけ豊かな火山灰土に覆われたジャワ島はインド文化の精華が花開く場であった。
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