生物のホメオスタシス
生物にホメオスタシスという現象がある。元来は、体表を外被で覆って生体内の環境を恒常的に保持する現象だが、発生的ホメオスタシス、生態的ホメオスタシスなどと、適用の場は広がっている。世界のあれこれの地域を見て歩いた経験からは、地域にもホメオスタシスがあると痛感させられる。グローバリゼーシヨンの喧伝にも拘わらず世界が一色になっていないどころか、千差万別であることに気がつく。
地域のホメオスタシス論は地域論そのもので、一冊の本を書く必要がある.ここでは。地域もホメオスタシスがあるということと、生物のホメオスタシス同様、内部の構造や機構が詳細に判らなくとも、個体は存在するということを言いたかったのである。
9 タール砂漠の東端に在るジョドプールの旧市街はオアシス都市の典型である。赤い砂岩を青くぬった密集集落は幻想的な美がある。然し巨大な権力も発生する。1944年に完成したマハラジャの宮殿は日本の国会議事堂に匹敵する巨大さだ。オアシス都市の空間はイラン、トルコ、地中海西端まで一続きだ。
|