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2.類似のなかの異質
(2)移動性
これまでに述べたように、東南アジアには、とくに福建や広東を含む南中国から来た華人や、南インドなどからのタミル人を中心に多くの来住者があった。これらの来住者たちは、少なくとも20世紀の初めまでは、定着傾向が概して低かった。とくに労働者(苦力)として来住したものは、ある程度小金が貯まると、すぐさま故郷に帰ることを考えたのであった。ゴム園労働のために来住した南インドのタミル人の場合はさらに極端で、契約期間が過ぎればただちに帰国することが多かった。つまり、出稼ぎの場としての東南アジアという性格が一時期には強烈であったのである。
筏上の家屋。川を旅する人の宿でもある。
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Contents
1、アジアの中の東南アジア
多様な側面
異質の要素
2、類似のなかの異質
2-1、都市の構造
多民族的構造
2-2、移動性
出稼ぎ
焼畑
3、小人口世界
4、東南アジア型社会
農民と移動
異質への親和性
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