越境するメディアと社会変容に関する比較研究(2010)



概要

 1990年代以降のグローバル化の進展とともに国民国家の境界がゆるみ、それとともにモノ・ヒト・カネ・情報などの国際的な移動やトランスナショナルなネットワーク・コミュニティーなどに対する研究が盛んになってきた。
 本研究では、第3世界における「国境を越えるメディア」としての雑誌・新聞・出版物、またラジオやテレビ、映画やドラマ番組などをとりあげて、(1)そうしたトランスナショナル・メディアの登場を可能にした技術的・政治経済的要因はなにか、(2)またそれぞれのメディアの越境がどのようにおこなわれているか、(3)さらにそれらのメディアが国や地域を越えることで、いかなる社会的・政治的変容を促すようになったのかを、とくにアジアと中近東地域を対象とした国際間比較研究を通して明らかにする。
 本研究では、それぞれのメンバーの研究から得られた各地域の事例を、単なる地域的な偏差として捉えるのではなく、そこから一歩踏み込んで、第3世界に共通する、トランスナショナル・メディアと社会変容のあり方に関する共通の論理を析出していくことを目指す。なお、共同研究の報告会は、2011年1月にタイのチュラロンコン大学において開催した。

研究報告会

研究報告会
2011年1月7日 タイ
Program (English) 〈 報告会ポスター

研究報告書

目次

1. はじめに
2. 個人報告
 千葉悠志
アラブ世界の衛星放送市場化をめぐる一考察
 ―多チャンネル化の進展とアクセシビリティの変化に着目して―
 李美智
トランスナショナル化するメディア・コンテンツ
 ―タイにおける韓国ドラマの流通―
 須永恵美子
南アジア・イスラームのメディアと思想潮流
 ―1947年から1970年のウルドゥー語出版を中心に―

メンバー

氏名調査地研究テーマ
千葉悠志
(研究代表)
エジプト現代アラブ世界におけるメディア秩序の再編に関する研究
須永恵美子パキスタン南アジアにおけるウルドゥー語メディアとイスラーム思想
李美智タイアジアにおけるテレビ番組の国際的な流通-タイにおける日韓のテレビ番組の事例から