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Contents
1.不変の「原像」としての初期イスラーム
2.スンナ派とシーア派
3.アリー・バクルとウマル
4.アリーとムアーウィヤ
5.アッバース朝バグダードの抗争
6.カリフへの呪詛の構図
6.a.正統カリフ呪詛と呪詛者の処刑
6.b.ムアーウィヤ賛美と呪詛、呪詛の中止
6.c.呪詛をめぐる関係性
7.現代を理解するための歴史
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1.不変の「原像」としての初期イスラーム
現代に至るまで、初期イスラーム時代はイスラーム世界にとって常に「現代」であり続けた。人々はあるべき生活・社会そして国家の在り方を初期イスラーム時代に求め続けている。スンナ派にとってのユートピアとしての正統カリフ時代とシーア派にとっての苦渋に満ちたフサイン殉教は、現代社会にも大きな意味をもって繰り返し再生される。そのような一例として、中世における「現代」としての初期イスラーム時代の在り方を、カリフへの呪詛をテーマとして眺めてみよう。
アッバース朝時代のカアバ神殿の鍵
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