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3.アッサラーム・ナヴルーズ
イスラームの拡大は、特定地域のイスラーム化を意味すると同時に、イスラームの地域化(東南アジア化、南アジア化、など)をも意味した。
もともとイスラーム以前から、イラン系の人々の間に伝わる伝統に、ノウルーズという春分(新年)の行事がある。ウズベキスタンではナヴルーズと発音する。
写真は、この日を祝う看板。「アッサラーム・ナヴルーズ」と読む。「アッサラーム」は、アラビア語で平安を意味する。「アッサラーム・アライクム(あなたの上に平安がありますように)」というムスリム同士の挨拶がすぐ連想される。これにイスラーム以前の「ナヴルーズ」が連結され、しかもその全体が、ロシア語と同じキリル文字で記される。
こういう現象を、イスラームと土着文化の混淆、という風に捉えることは簡単である。しかし、この現象をあくまでイスラームの中に置いて考えてみる視点が必要ではないか。イスラーム世界の中でどういう意味づけを与えられてきたのかを探ることの方が、重要なのである。
春分(イラン暦の新年)を祝う看板
(ウズベキスタン・サマルカンド)
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Contents
1.雪をかぶるモスク
2.知の伝統とイスラーム世界
3.アッサラーム・ナヴルーズ
4.「多神教」的イスラーム
4-1 アッラーを超える存在?
4-2 誰に願いを?
5.「一神教」的イスラーム
5-1 男女隔離
5-2 メッカは「イスラームのメッカ」か?
6.「正しい」イスラーム
6-1 偶像禁止
6-2 国王も聖者信仰
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