第十三回 「〈多神教〉的イスラームと〈一神教〉的イスラーム」
東南アジア地域研究専攻(南・西アジア地域研究) 東長靖(連環地域論講座)tonaga@asafas.kyoto-u.ac.jp
1.雪をかぶるモスク
「イスラーム世界」は、世界中に広がっている。イスラーム教徒(ムスリム)人口は、10億人を優に越している。それでもまだ、暑い砂漠のイメージとイスラームは切り離しがたく結びついているようだ。 98年12月のある朝、イスタンブルのホテルで目覚めると、あたりは一面の雪。気温は摂氏2度。モスクも雪をかぶるわけだ。 東アジア、東南アジアから南アジア、中央アジア、西アジアを経て、北アフリカ、さらにはサハラ以南のアフリカまで。イスラームは自然条件の違いを越えて拡大する。 それぞれの地域では、イスラームはその地域を形成する一要素にすぎない。
Contents
2.知の伝統とイスラーム世界
3.アッサラーム・ナヴルーズ
4.「多神教」的イスラーム
4-1 アッラーを超える存在?
4-2 誰に願いを?
5.「一神教」的イスラーム
5-1 男女隔離
5-2 メッカは「イスラームのメッカ」か?
6.「正しい」イスラーム
6-1 偶像禁止
6-2 国王も聖者信仰