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4.「多神教」的イスラーム
4-2 誰に願いを?
世界のあらゆる事柄は、細大漏らさず、アッラーの決定・予定に従うというのが、イスラームの基本的立場である。
しかし、イスラーム世界では、特定の「聖者」に、あるいは特定の「聖地」で、祈りを捧げる姿がしばしば見られる。写真は、トルコ・イスタンブル郊外にあるエユップ・スルタン廟の中庭にある「聖木」に祈りを捧げる人々。
このような現象はイスラーム世界に広く見られるが、これもアッラー以外のものに願掛けをするのはけしからんという理由で、「一神教」の立場から批判を受けてきた。
しかし実際には、今日ですら、このような慣行は生き残っている。前近代には、聖者に取りなしを頼むことは、「正しいイスラーム」の伝統なのであって、これを批判する側こそ間違っている、という論文が数多く書かれている。
エユップ・スルタン廟中庭
(トルコ・イスタンブル)
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Contents
1.雪をかぶるモスク
2.知の伝統とイスラーム世界
3.アッサラーム・ナヴルーズ
4.「多神教」的イスラーム
4-1 アッラーを超える存在?
4-2 誰に願いを?
5.「一神教」的イスラーム
5-1 男女隔離
5-2 メッカは「イスラームのメッカ」か?
6.「正しい」イスラーム
6-1 偶像禁止
6-2 国王も聖者信仰
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