|
2−2、儀礼の過程:女神が太刀をとる
「太刀を持ち、赤い布の上で「太刀の舞」を披露するシャーマン」
シャーマンが村に置かれた女神寺院にまでやってくると、当地域の首長の子孫が太刀をシャーマンの前に置く。これには以下のような伝説がある。「シャーマンの神性を疑った首長は、王から授かった十二尺の太刀を持ち上げてみせよ、と挑戦をした。果して、シャーマンはその太刀を持ち上げるばかりか、ブンブンと振り回してみせた。首長はシャーマン(女神)の前にひれ伏せざるを得なかった。」当祭祀では、この伝説が再演されるのだ。ゆっくりと太刀の回りをまわった後、シャーマンは、太刀を手にすくっと立ち上がり、太刀を振り回しながら踊りだす。ドラマチックな一瞬である。太鼓の音が高くなり、感極まった村人たちの「ホリボロ」(神を呼べ)の叫びが何度もあがる。
|
|
Contents
1-1、アイデンティティ
形成の場としての儀礼
1-2、儀礼から何がわかるのか?
2、儀礼の過程
2-1、礼拝と憑依
2-2、女神が太刀をとる
2-3、供犠と軍事行進
3、儀礼の解釈
3-1、象徴体系の視点から
3-2、政治・社会体系の視点から
3-3、歴史ドラマとして
4-1、歴史の中の儀礼
/儀礼の中の歴史
4-2、演ぜられない植民地経験
5、ポスト植民地期における
アイデンティティ形成
|