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1−1、アイデンティティ形成の場としての儀礼
ここでは儀礼をアイデンティティ形成の場として捉える視点から、インド・オリッサ州ゴロマニトリ村で調査したラモチョンディ女神祭祀を分析してみよう。儀礼の場は、特に「伝統的」アイデンティティの表象・形成と関わる。ここで「伝統的」とは、「近代以前の」という意味ではなく、「現在の『われわれ』にとって正統な」ということを意味する。こうした視点からは、儀礼は、単に権力関係や集団帰属についての徴付けにはおさまらず、参加者の自己の社会的・実存的意味(「自分は誰か」)の再認識のための場である。
「インドとオリッサ州」
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Contents
1-1、アイデンティティ
形成の場としての儀礼
1-2、儀礼から何がわかるのか?
2、儀礼の過程
2-1、礼拝と憑依
2-2、女神が太刀をとる
2-3、供犠と軍事行進
3、儀礼の解釈
3-1、象徴体系の視点から
3-2、政治・社会体系の視点から
3-3、歴史ドラマとして
4-1、歴史の中の儀礼
/儀礼の中の歴史
4-2、演ぜられない植民地経験
5、ポスト植民地期における
アイデンティティ形成
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