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第十七回 「イスラーム世界研究の新地平 ― スーフィズム・タリーカ研究―」 |
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Contents 5.ウンマの再現としてのタリーカ |
5.ウンマの再現としてのタリーカ イスラームが共同体思想を根幹に持っていることは、「2.イスラームの2つのベクトル」でお話ししました。この共同体は、ウンマと呼ばれます。それは、ムハンマドの在世中に、彼のまわりに形成され、その後の歴史の中で拡大していきました。 しかし、13世紀のモンゴルの侵入と、これに伴うアッバース朝カリフの殺害・カリフ位の断絶という事態は、ウンマの危機をもたらしました。人々がウンマの実在を実感しにくくなっていったことは、想像に難くありません。 こうした状況に呼応するかのように、スーフィーたちの共同体が生まれてきます。それが、タリーカです。内的世界に到達するための修行を行う場としての「スーフィー教団」のことをさしています。 タリーカはウンマ崩壊後のウンマの再現であり、原初のウンマの後代における現前なのだと考えることができます。 タリーカのメンバーは、一同に会して修行をすることで、共同体意識を高め合います。 |