Contents
なにが問題なのか
1、なぜ行き詰まったのか−政治制度
2、なぜ行き詰まったのか−政権の運営
3、なぜ行き詰まったのか−政治的妥協と非常事態宣言の問題
4、新政権は安定するのか
5、なぜ政治社会秩序は不安定なのか
6、なぜ家族主義システムは崩壊したのか
7、インドネシアの危機をどう考えるか
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3.なぜ行き詰まったのか−政治的妥協と非常事態宣言の問題
したがって、論理的に言えば、大統領には危機回避のため二つの選択肢しかなかった。そのひとつは政治的妥協によって内閣改造を行い、国会における安定多数体制を構築することである。しかし、大統領は政治的妥協を拒否し、メガワティ副大統領との関係も修復不可能なまでに悪化した。
もうひとつの選択肢は非常事態宣言、議会解散、総選挙である。大統領はこの一月、大統領問責決議の直前にこれをやろうとして、陸軍参謀長に反対されて断念した。このため五月には、大統領はまず陸軍参謀長を更迭し、陸軍を掌握した上で、非常事態を宣言しようとした。しかし、大統領は結局、陸軍高級将校の反対で陸軍参謀長更迭断念をよぎなくされ、非常事態宣言もできなかった。
これで勝負が付いた。大統領は、議会が五月末、国民協議会臨時召集を決定するまでにすでに「死に体」となり、八月には国民協議会召集、大統領解任、メガワティ大統領または政府首班の下での新政権の成立が動かない情勢となった。(ただし、土壇場で政治的妥協が成立し、大統領がその権限をすべて副大統領に委譲して名目的にのみ生き延びるという可能性はまだ残っている。)
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