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第十六回 「食糧生産と環境保全」 | |||
Contents 5.「地べたを這いずり回る」と「鳥瞰する」 |
5.「地べたを這いずり回る」と「鳥瞰する」 どのような研究でも、小さな事実や精緻な考察の積み重ねが大切であることに間違いはありません。村落研究はまさにそのような研究です。しかし、ときに、少し大雑把でもより大きな枠組みの研究が必要だと思います。そして両者を補完的にドッキングさせることができれば、研究の階段を一段上がることができるのではないか、冒頭に述べたプロジェクトを立ちあげるときに、こう考えました。すなわち、一村ではなく東北タイ全域を対象とする研究、個々のfact findingの精度は多少落ちるかもしれないけれど、大きな傾向を抽出できるような研究をめざしました。いわば、這いずり回っていた地べたを鳥瞰してみよう、ということです。鳥瞰する方法はいろいろ考えられます。空中写真や人工衛星画像等をデータソースとする実際に鳥瞰する方法、広域での作物生育モニタリングや質問票調査等、人を動員して大量の情報を集める方法、対象とする現象の鍵を握る事項や指標を見つけ出して論理を組み立てズバッと切る方法などです。とにかく初めての試みですから、考えつく方法をいろいろ試しているところです。 東北タイ全域の1997年雨季作の天水田水稲作の収量分布。MAPNETプロジェクトと農業普及局東北部事務所が共同で、区(タンボン)レベルの農業普及員を対象とした質問票調査を実施した。その結果をGISで表示したのがこの図である。西南部では、干ばつのために、収量が1t/haに達していない。 |
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