シンポジウムの趣旨
まず、平松幸三研究科長の挨拶で本シンポジウムは始まりました。挨拶では、このシンポジウムで魅力ある大学院教育プログラムの掲げる「実践的地域研究」の一端が明らかになるだろうということ、本プログラムを通じて、学生・教員がともに成長し、大学院として研究科の成長が期待できるということが述べられました。
つづいて、本プログラムの実施責任者である重田眞義助教授からのシンポジウム趣旨説明では、とくに開発実践と地域研究とのかかわりについて述べられました。
開発へ関わることをためらう研究者がいて、しかしそのなかには「自分の研究は、地域の人々のくらしにとって役に立たないのではないか」と思っている研究者もいる。かたや、悩みながら開発に「研究者」として関わっていく人はいて、しかしそのなかには自分が開発にかかわりながらも「研究」していることにどこか後ろめたさを感じている人もいる。
もしこれが現状だとすれば、その根底には開発実践と研究との二項対立的な関係の想定があるのではないか。この二項対立を乗り越えるために、「当事者意識・立場性・相手を理解する」という3つのキーワードで集約できるような実践を、地域研究がそもそも孕んでいることに自覚的になるべきではないか、という提起で趣旨説明は結ばれました。