アジア・アフリカ地域研究情報マガジン:写真館バックナンバー

メールマガジンバックナンバー第84号

■■■■■ June 2010 第84号 <改革プロ・メルマガ第19号>■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/index.html
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___________今月号の目次_________________

□「私の頭痛 ―地域研究と開発実践のはざまで―」
......................................フィールド便り
□"Made in Japan?"..................メルマガ写真館II
□大学院教育改革支援プログラム情報
..................研究発信トレーニング(2010)
□お知らせ.............大学院説明会、アフリカ研究最前線
□GCOE情報
......ワーキングペーパー、大学院教育報告など
□セミナー情報
□編集子より
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■フィールド便り 第19便
~みる・きく・ふれる:アジアとアフリカのフィールドから~
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「私の頭痛 ―地域研究と開発実践のはざまで―」
 ...............高橋隆太

今日もやはり頭が痛い。心地よくない疲労感と心のモヤモヤ。
覚悟していたとはいえ、やはり今日も頭が重くてしかたあり
ませんでした。

私は昨年7月、アフリカライス・センター(旧西アフリカ稲作
開発連合)という国際研究所のサヘル支所(在セネガル)に
客員研究員として赴任しました。この研究所は最近、西アフ
リカを越えてアフリカ各地に支所を増やし、アフリカ全体の
コメの生産量を増やすこと、まさに「アフリカ版 緑の革命」
をコメの品種改良などを通して目指しているのです。

この研究所に赴任してから、いろいろな援助団体の会合に参加
する機会が増えました。そこでのテーマは「どうしたらセネガ
ルでのコメの生産を増やし、コメの輸入を減らせるのか」
です。会合にはコメの生産者や精米業者、セネガル米の小売業
者やコメの輸入業者、ときには「コメ消費者代表」なる人達ま
で登場します。こうした会合に参加したあとに、私は頭痛と
疲労感を覚えるのです。

私の頭痛はどこからくるのでしょうか。それは、私が村で調査
しているときと、援助団体の会合に参加しているときと、思考
回路を切り替えなければならないからかもしれません。

コメを生産する村で私が調査しているときに、もっとも関心を
覚えるのは、村人がどのような問題に直面して、それをどのよ
うに解決していくのかということです。そこでは、多くの場合、
私の予想できなかった解決策をみつけて農業を営んでいく、
彼らのしたたかな勇姿をみることができます。

他方で、援助団体の会合では、稲作農民の抱える問題を「発見」
し、それに対する解決策を考える立場に、私自信も身を置かな
ければなりません。もちろん私が村で調査しているときに、
「ああしたら良いのに」とか「ここをサポートしてあげれば状況
はもっとよくなるかも」などと考えることはあります。しかし、
村人の農作業や日常生活などを観察しているだけの私から、
外部者として農民たちの未来を改変しうるような開発実践に対
して意見を述べる私と、ある意味で人格を変えなければならな
いのです。

ただ、頭痛を抱えながらも、会合などで意見を求められていく
うちに、地域研究が開発実践に対してとても役に立つことを再
認識しました。開発実務者たちが私に求めるのは、農民の視点
にたった意見なのです。調査者ではありつつも、長期間にわたっ
て、一つの村で、一人の村人として、村びとと衣食住をともに
していくような地域研究は、より村人に近い立場から、開発プ
ロジェクトを評価したり、立案したりできるかもしれません。

私は、大学院生時代、さまざまな経験や専門分野をもつ仲間た
ちと、アフリカ開発研究会を立ち上げ、これまでも地域研究と
開発実践との架け橋をどう築いていけるのかということを考え
てきました。開発実践機関でも純粋な研究機関でもない、両者
の中間的な研究所に身をおいて研究生活を送ることで、地域研
究と開発実践の架け橋を築いていくことは、非常に困難ではあ
るけれども、地域研究にとっても開発実践にとっても、とても
重要であると私はより強く感じるようになりました。まずは私
の頭痛と疲労感を解消すること、それが架け橋を築く私の試み
の第一歩になるのかもしれません。

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このメールマガジンのバックナンバーは、こちらのページから
ご覧いただけます。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/mm/mm_list.html

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■メルマガ写真館II ~フィールドで出会う~
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"Made in Japan?"
................. 手代木功基(アフリカ地域研究専攻)

ナミビア共和国の北西部にもモータリゼーションの波は急激に
押し寄せています。ですが、ドンキー・カート(ロバの荷車;
Kuni- s)は、まだまだ重要な交通手段です・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/mm/2010_06.html
(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)

↓「メルマガ写真館」バックナンバー
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/mm/mm_phots.html

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■大学院教育改革支援プログラム:
研究と実務を架橋するフィールドスクール情報
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■研究発信トレーニング(2010)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/reports/
2010training.html

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お知らせ
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□2010年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
大学院説明会

日 時:2010年7月3日(土)15:00~17:00
(受付/14:30)
場 所:京都大学 東京オフィス
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/for_test-takers/
tokyo2010.html

参加登録フォーム
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/for_test-takers/
applicationT.html

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□2010年アフリカ地域研究資料センター 東京公開講座
「アフリカ研究最前線」~変貌するアフリカを問いなおす~

日 時:2010年7月4日(日)13:30~17:00
場 所:京都大学 東京オフィス 会議室3
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/
news4/2010/100704_1.htm

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□アフリカ地域研究資料センター5回連続公開講座
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/~front-a/
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「アフリカ研究最前線:解る・アフリカ」2010年5月より
始まります。ASAFASの若手研究者も講師として、
アフリカの今をわかりやすく伝えます。
お誘い合わせの上、是非ご参加下さい。

◆第3回「アフリカ研究最前線:解る・アフリカ」講座
「『話す(はなす)』:アフリカの人たちが話す言葉とコミュ
ニケーションの作法について、最新の研究成果をお伝えします。」

日 時:2010年7月24日(土)15:00~17:00
場 所:京都大学稲盛財団記念館中会議室

スピーカー:
木村大治(京都大学アフリカ地域研究資料センター)
亀井伸孝(大阪国際大学)

受講料:4000円(5講座)
 ※1回ずつの受講も可(1講座1000円)

登録フォーム
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/~front-a/form.html

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■京都大学 G-COE プログラム
:生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点HP掲載情報
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□ワーキングペーパー
◆88号
「東南アジアでの自然災害に即応する情報提供:
ミャンマー国サイクロン・ナルギス関連情報ウェブサイトの経験」
古市剛久
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/workingpaper88
◆89号
「依存から『自律』へ―難民の自助的活動に関する人類学的考察―」
久保忠行
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/workingpaper89
◆90号
「祭りの『参加』制度の変更と『関与』の連続性
 ―三重県熊野灘沿岸部・相賀浦地区を例として―」
中川千草
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/workingpaper90
◆91号
「都市に/が居座ること―出来事としての都市についての試論―」
木村周平
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/workingpaper91

>>ワーキングペーパー
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
staticpages/index.php/working_papers

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■大学院教育
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□GCOE大学院派遣報告リスト(2010年度)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/2010list


□GCOE大学院派遣報告(2009年度)

◆「フィリピン農村部における生活の変化と生存保障機構の推移」
....加川真美(ASAFAS 東南アジア地域研究専攻)

フィリピンの代表的な社会保障機構には、退職者年金、傷害給付、傷病手当、
労災給付、出産休暇給付をおこなう Social Security System・・・
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/2009_fs_kagawa_j

>>大学院派遣者報告リスト(2009年度)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/2009list
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■若手研究者養成
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□次世代イニシアティブ・研究助成リスト(2010年度)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/2010_jr_list

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■連携国際集会
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□連携国際集会リスト:2010年
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/IS_2010

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■6月開催の研究会※研究会活動の記録掲載をすすめています。
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■パラダイム研究会
[2010-06-21] 「インドネシア共同調査報告会」[第29回研究会]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100621

■第2パラダイム研究会
[2010-06-28] [第3回研究会]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100628

■イニシアティブ1
[2010-06-12]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100612_ini1

[2010-06-04]「オスマン朝」[「イスラーム的システムの史的展開」シリーズ]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/20100604

■イニシアティブ3
[2010-06-10] HSS2010(ヒューマノスフェア・サイエンス・スクール 2010)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100610

■イニシアティブ4
[2010-06-27] [都市についての研究会]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100627_ini4

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■セミナー情報....7月のおもな地域研究関連の研究会情報
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■[2010-07-03] (イニシアティブ1 研究会)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100703_ini1

■[2010-07-04] 「2010 年アフリカ地域研究資料センター
東京公開講座
『アフリカ研究最前線』~変貌するアフリカを問い直す」
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100704_ka

■[2010-07-07]「山地河川の水流出量に対する森林利用の影響は
どのように評価すべきなのか?」[第2回人為撹乱研究会]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100707_ini2

■[2010-07-08] 「アッバース朝」[「イスラーム的システムの
史的展開」シリーズ第3回](イニシアティブ1 研究会)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100708_ini1

■[2010-07-12] [第30回研究会] (G-COEパラダイム研究会)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100712

■[2010-07-12] International Workshop on Islamic Economics:
Reconsidering the Idea of Islamic Finance
 (国際集会・国際シンポジウム)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100622104320938

■[2010-07-15]「アフリカ教育研究―その多面性と面白さ」
[第171回アフリカ地域研究会]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100622143802681

■[2010-07-17] (イニシアティブ1 研究会)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100717_ini1

■[2010-07-22] The 3rd World Congress for Middle Eastern Studies
 (国際集会・国際シンポジウム)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100622104548545

■[2010-07-24] (イニシアティブ1 研究会)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100724_ini1

■[2010-07-24]「平成22年度公開講座「第3回:話す」
(『アフリカ研究最前線:解る・アフリカ』
[連続5回]アフリカ地域研究資料センター公開講座)」
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100622133305111

■[2010-07-26] [第4回研究会] (第2パラダイム研究会)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100726

■[2010-07-28] [第7回南アジア・インド洋世界研究会]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
article.php/20100622151245279

◆カレンダーからその他セミナー情報が閲覧できます。
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/
calendar/index.php
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◆編集子より◆だんだん暑くなってきましたが、みなさんいかがおすご
しでしょうか。長期のフィールドワークから得られた知見に、援助団体
が関心と期待をよせていることを、高橋さんの巻頭エッセイはとりあげ
ています。村の人に助けられ多くを学んだフィールドワーカーにとって、
地域研究と開発実践の架け橋を築いていくということは、生易しいこと
ではなく、ときには身体的な苦痛さえともなう行為となってあらわれて
きます。この教育プログラムでは、研究と実践を架橋するような人材の
養成をめざしています。「架橋する」と言葉で表現することは容易いで
すが、その内実を深く理解することの意義を高橋さんのエッセイはあら
ためて感じさせてくれました。「まずは私の頭痛と疲労感を解消するこ
とそれが架け橋を築く私の試みの第一歩になる」という高橋さんの言葉
は、研究と実践を架橋するということが、「頭痛」を抱えながらも、
それとうまくつきあい、フィールドの人や開発実践にたずさわる人びと
と関わり続けていく営みであることを教えてくれます。(MK)
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◆このメールマガジンは、JSPS大学院教育改革支援プログラム「研究と実務
を架橋するフィールドスクール:社会に貢献するアジア・アフリカ地域専門
家の養成」実行委員会がASAFASフィールドワーク・インターンシップ支援
室より発行しています。

◆感想やご質問をお気軽にお寄せください。掲載希望の記事や
研究会の案内なども受け付けています。
宛先:ainfom@asafas.kyoto-u.ac.jp

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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
ASAFASフィールドワーク・インターンシップ支援室
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協力:
京都大学 G-COEプログラム:生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点
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