■■■■■ January 2009 第67号 <改革プロ・メルマガ第2号>■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/index.html
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___________今月号の目次_________________
□「自然環境を守ってこそ、自分たちの未来もある
-ベトナム山間部の少数民族村で生きるということ-」
.........フィールド便り
□「みんなでチューチュー!!ムオン族の『瓶酒』」...メルマガ写真館II
□ フィールドコラム
□ ワーキングペーパ
□ セミナー情報
□ 編集子より
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■フィールド便り 第2便
~みる・きく・ふれる:アジアとアフリカのフィールドから~
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「自然環境を守ってこそ、自分たちの未来もある
-ベトナム山間部の少数民族村で生きるということ-」
..............伊藤正子
年明け早々12日から19日まで8日間にわたって、ベトナムフィー
ルドスクールを開催しました。参加者は1-2年生の計8人と教員3
人で、3日間ハノイのベトナム・日本人材協力センター内の部屋を
借りて座学を行い(講義内容はまもなくHPにアップします)、その
後3日間はホアビン省タンラック県で、NGOの日本国際ボランティア
センター(JVC)が持続的農業の援助を実施している幾つかの村を訪
問しました。
ホアビン省はハノイの西南に位置し、タンラック県はその中でも最
も貧困度が高い山間部にあり、住民はほとんど少数民族のムオン族
です。JVCはここで10年間にわたって活動してきたということです。
そこで、傾斜地を利用した等高線農業やアヒル水稲同時作、魚水稲
同時作、幼苗一本植えなどに取り組む農家の人たちから、私たちは
お話を直接聞くことができました。
感銘を受けたのは、地元で持続的農業に取り組むことに農家の人た
ちが非常に自信をもっていたことです。また、自身の故郷である田
舎で生きていくことに、特に若い人たちが誇りを持っていたことで
した。私が1990年代後半にフィールド調査に入っていた同じベ
トナムの東北山間部の少数民族の村では再訪する度に若者が減り、
日本と同様に田舎は過疎化が進んでいます。田舎に残って農業をす
ることを、人びとは「農業しかできない」と否定的に表現します。
町に出て行って行政や党の幹部や教員、警察官などになるのが出世、
というかなり強力な考え方に支配されているのを残念に思っていた
ところだったので、このムオンの人たちのあり方はとても新鮮でした。
農家の人たちのうちの数人は、JVCのベトナム事務所代表の伊能さん
のアイデアで、イタリアやフィリピン、韓国などの会議に出席して、
互いの取り組みを学び合ったり、また日本の様々な有機農法に取り
組む方たちから研修を受けたりと、山奥にもかかわらず、自分たち
と世界とがつながっていることを強く意識していました。
伊能さんによれば、私が調査をしていた地域と比べて商売やサービ
ス業などの産業もないし、若い人が続々都会へ出て行くインセンティ
ブもないから、地元で生きていく選択をする人が多いのですよ、と
のことでしたが、恐らくそれは理由の一部に過ぎないように思いま
した。10年かけたJVCの活動を通じて、人びとが意識改革していっ
たことが一番大きいように思います。NGOが持ち込んでいる技術は、
地元の資源を少し工夫して利用しているもので、最先端の科学を利
用した農業技術では全くありません。しかし、ちょっとずつ改良を
積み重ねつつ有機農法に取り組み、収入を大幅に増加させるととも
に、世界の自然管理や持続的農業の趨勢が自分の生活と直接つなが
る体験や情報をもつことで、ムオンの人びとは、自身の郷里の田舎
で生きることに自信を深めていったのだと思いました。
環境破壊が進む話ばかり聞くベトナムで、タイトルのような発言を
する村人たちは、とても頼もしい人たちでした。
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このメールマガジンのバックナンバーは、こちらのページから
ご覧いただけます。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/mm/mm_list.html
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■メルマガ写真館II ~フィールドで出会う~
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「みんなでチューチュー!!ムオン族の『瓶酒』」
.................財津信(東南アジア地域研究専攻)
一個の壺から無数に伸びる管と、それに群がる老若男女…。この
写真は、今年度からアジア・アフリカ地域研究研究科で始まった・・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/mm/2009_01.html
(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)
↓「メルマガ写真館」バックナンバー
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kaikaku/mm/mm_phots.html
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■京都大学 G-COE プログラム
:生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点HP掲載情報
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■フィールドコラム
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◆タンザニア・フィールド・ステーション
「貧困削減戦略の現場から」...黒崎龍悟(アフリカ地域研究専攻)
私の研究の関心は、農村開発の現場において地域住民、援助ドナー、
現地行政官、NGOなどのさまざまなアクターがやりとりを繰り広げる
なか、どのように地域住民の内発的な動きがあらわれるのかを・・・
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php? story=20090105
◆カメルーン・フィールド・ステーション
「男たちが主役になれる日」...片山祐美子(アフリカ地域研究専攻)
特別な日、タムタムとよばれる太鼓の音色が村中に響き渡る。子供
の命名式や結婚式、断食明けのお祭りや一頭の羊を神に捧げる犠牲
祭、種まきのときや収穫のときなど、とにかく嬉しいとき・・・
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php? story=20081226_02
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■大学院教育(フィールド・ステーション)ページでは
フィールドで活動された大学院生の報告やフィールド・ステーション
活動の紹介が掲載されています。
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/staticpages/ index.php/edu_ja
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■ワーキングペーパ
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/staticpages/ index.php/working_papers
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◆G-COE Series 8
"Centering Peripheries: Flows and Interfaces in Southeast Asia"
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php? story=workingpaper8
◆G-COE Series 9
"A Virus, Democracy, and Sustainable Society:
the Experience of Community-based HIV/AIDS Programs Among the Gurage,
Southern Ethiopia"
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php?story =workingpaper9
◆G-COE Series 10
"Historical Formation of Pan-Islamism: Modern Islamic Reformists Project for
Intra-Umma Alliance and Inter-Madhahib Rapprochement"
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php? story=workingpaper10
◆G-COE Series 13
"Prospect of Building a Local Self-government at the Upazila/ Thana Level :Towards a Decentralized Rural Administration in Bangladesh"
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php? story=workingpaper13
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■セミナー情報 2月~3月のおもな地域研究関連の研究会情報
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[2009-02-04] ベトナム・ハノイ関連研究会
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php?story=200900204
[2009-02-07] Middle East & Asia Studies Workshop:
"New Approaches in Central-South Asia and Middle Eastern Scholarship"
(イニシアティブ1 研究会)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/en/article.php?story=20090207
[2009-02-09] 「特別セミナー:アグロフォレストリーと土地利用持続性」
(パラダイム・イニシアティブ2 合同研究会)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php? story=20090127122804472
[2009-02-10] 地域研究方法論研究会
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php? story=20090210150633645
[2009-02-16] 「イスラーム金融講演会」(イニシアティブ1 研究会)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php? story=20090216_ini1
[2009-02-17] 国際集会・国際シンポジウム
Forest Policies for a Sustainable Humanosphere
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/en/article.php? story=2009021715182026
[2009-03-03] 国際集会・国際シンポジウム
The Workshop by the Invited Young Scholars from Asian Countries
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/en/article.php? story=20090303160535725
[2009-03-09] 国際集会・国際シンポジウム
The Second International Workshop"Biosphere as a Global Force of Change"
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/en/article.php? story=20090309
[2009-03-14] 「学問のつながりのユニークさ:それがつくる明るい未来」
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php?story=20090314
◆カレンダーからその他セミナー情報が閲覧できます。
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/calendar/index.php
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◆編集子より◆伊藤先生ご執筆の「フィールド便り」の通り、ベトナム・
フィールドスクールが1月12日―19日に開催されました。少数民族や
自然環境に関する講義、様々なレベルで援助実務に携わる方々からの講義、
NGOの活動現場での実習を織り交ぜた内容で、参加した学生からも参加
して良かったという声が聞かれました。本年度は更にエティオピアとネパー
ルで開校される予定です。(TF)
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◆このメールマガジンは、JSPS大学院教育改革支援プログラム「研究と実務
を架橋するフィールドスクール:社会に貢献するアジア・アフリカ地域専門
家の養成」実行委員会がASAFASフィールドワーク・インターンシップ支援
室より発行しています。
◆感想やご質問をお気軽にお寄せください。掲載希望の記事や
研究会の案内なども受け付けています。
宛先:areainfom@areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp
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京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
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