アジア・アフリカ地域研究情報マガジン:メルマガ写真館

第47回 「メルマガ写真館」

「青年狩人」...今中亮介(アフリカ地域研究専攻)

 

この写真は、私の調査村に住む青年オジョとランシが狩りをしにブッシュに向かっている様子です。

 

この村を含むマリンケ社会では、古くからドンソ・トンと呼ばれる狩人結社があります。かつては、この狩人結社が集団猟を取り仕切り、アンテロープなどの大型動物も獲ることができたようです。しかし、現在では村の周辺の動物は減り、集団猟も行われなくなりました。大型動物はほとんど姿を消し、小型の動物でさえ捕獲するのが難しくなっています。

 

オジョとランシはドンソ・トンに入会してはいません。しかし、周りの大人たちは、オジョのことを「偉大なドンソ(狩人)だ」と言います。確かに彼らとともにブッシュに出ると毎回何かしらの獲物を獲ってきます。彼らは、オオトカゲ、マングース、ウサギなど小型の動物を獲ってくることが多いのですが、人びとは日常的に肉を食べる機会はほとんどないので、たとえ小型動物であっても親族などから大変喜ばれます。この日も彼らは、マングースとリス、ウォロと呼ばれる鳥を獲って帰りました。

 

日本の高校生と同じ年恰好の彼らですが、狩りに向かうその背中はとてもたくましく見えました。

 

アジア・アフリカ地域研究マガジン第82号(2010年4月配信)