第44回 「メルマガ写真館」

「味のある相棒」...平田生子（東南アジア地域研究専攻）

ジャカルタの調査地でバスにひとりで乗るには未だに勇気が要りますが、興味深い光景に多く出くわすこのときが、楽しみでもあります。

写真はジャカルタを走る中型バスの運転席。運転手が席を外した間に撮った一枚です。ギアには何度も補修されたあとがあり、破れた座席シートは段ボールが敷いてあるだけという一見、使い古した車体ですが、走り出したら迫力満点です。前方車両が少しでもスピードを緩めると、すかさずクラクションを何度も鳴らして警告します。走行中、車体はすべての窓ガラスが割れんばかりにバリバリと音をたてて揺れるので、車内にはすさまじい音が響きます。

しかし、この年季の入った相棒を、車間距離の極端に狭いジャカルタの道で、他の車両を上手に避けながら走らせていく運転手たちはなかなか恰好いいのです。

飛び交う会話が聞きとれたり、無事に目的地に着けたときにはひとりで喜びをかみしめます。しかし、まだまだ慣れないバス。今日もおっかなびっくり乗りこみます。