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第5回(通算第30回)
「民主政治時代の中央・地方関係」
玉田芳史:地域進化論講座

Contents

1.タイの中央・地方関係

2.併呑された地方権力

3.中央集権的な行政

4.学歴エリート:ニムマーンヘーミン一族

5.地元密着型資本:タントラーノン一族

6.官僚と政治家を使うスパー一族

7.首相を出したチンナワット一族

8.遠い地方の時代

首相を出したチンナワット一族


 チェンマイで絹織物の製造販売で成功したのがチンナワット一族である。2001年に首相に就任したタックシンの一族である。彼の父ルートは69年、叔父スラパンは76年から95年にかけて6回チェンマイ選出の下院議員を務めている。国政進出はタックシンに始まるわけではない。
 タックシンは軍予科学校から警察士官学校をへて警察将校になった後、コンピュータの専門知識を得て退職した。彼が乗り出したのは家業とは無縁の電気通信産業である。短期間で巨万の富を築きあげ、90年代に政界へ進出した。自分の政党を結成して臨んだ2001年下院選挙では財力にものをいわせて歴史的圧勝をおさめた。


■7チンナワット絹織物社