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第222回 「メルマガ写真館」

第222回 「メルマガ写真館」
「泥炭湿地の歩き方」
岩田薫(東南アジア地域研究専攻)

 一歩踏み出すたびに腰まで泥炭湿地林の地面に埋まる私を見て、調査に同伴する村人が「イワタ、どうしてなの?」と笑っていました。一方の私は片足を泥炭にとられたまま、彼らが慣れた様子で足場を見つけ、軽やかに進んでいく様子を眺めます。
 豊かな生態系に恵まれたカリマンタン島には、世界最大規模の熱帯泥炭湿地林が広がっています。泥炭はひとたび足を踏み込むと沈んでしまうほど柔らかく、さらに雨季には酸性で赤茶色の水で冠水して足下が見えづらいので、ただ歩くだけでも一苦労です。やっとの思いでキャンプ地にたどり着いた時には、湿地の水と汗とで全身ぐっしょり濡れていました。
 湿地から汲んだ水で炊いた、茶色くて酸味のあるご飯を山盛り食べたあとは、翌日の帰路に備えて横になり、目を閉じます。ふと、Bluetoothスピーカーから流れる音楽や、まだ体力のあり余る村人たちの楽しそうな話し声が耳に入ってきました。電波も届かない森の真ん中で、スピーカーから流れる音楽と葉擦れの音がまじりあい、心地よい風に撫でられるうちに、私はいつの間にか眠りに落ちていました。



写真1 熱帯泥炭湿地の様子
写真2 キャンプ地での団欒
写真3 泥炭湿地林の夕焼け

(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid0274aL5BFoDh82ydazkhuE1KzJBihkWx2qQjPgDr3CQRVJnBq961vyQNGdFW3us1knl

(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/

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