第221回 「メルマガ写真館」
第221回 「メルマガ写真館」
「「白い机」は知っている」
野口朋恵(アフリカ地域研究専攻)
日本人によるサン(ブッシュマン)研究が始まってもうすぐ60年になります。調査村には調査者が使用する様々なものが保管されていて、写真に写る「白い机」も30年以上使われている調査道具の一つです。調査者の多くが、この机を囲んで、人びとから言葉を学び、長い時間をかけて聞き取りの文字起こしをし、ときにはなんでもないような話をしながら、ともに記憶を編んできました。しばらく村に来ていなかった調査者は「え、これまだ使ってたの!」と驚き、またある調査者は「この机でずっと仕事をしていると、表面のさび模様まで覚えてしまう」と話すほど。長い年月を感じさせるこの「白い机」も、私たちの声や姿を感じては、ともに紡いできた時間をひっそりと懐かしんでいるようです。
写真:筆者の指導教員の助手が見せてくれた24年前の写真。右側に野中健一さん、左端に「白い机」が写る。(2024年、筆者撮影)
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