第218回 「メルマガ写真館」
第218回 「メルマガ写真館」
「マンゴーの木かげの手仕事」
田中優花(アフリカ地域研究専攻)
未舗装のガタガタの道を揺られ、「あのマンゴーの木のところまで」とドライバーに伝えてモト(バイクタクシー)から降りると、顔なじみの男性2人が声をかけてくれます。彼らはガーナの手織り布「ケンテ」の織り手で、大きなマンゴーの木の下が彼らの仕事場です。
ケンテは17世紀ごろからガーナで生産され続けている、長い歴史を持つ高価で特別な布です。鮮やかな色糸がふんだんに使われ、熟練した職人の手仕事によって織られるケンテは、厚みがあってずっしりとしています。ケンテは、現在もガーナで大切な場面で晴れ着として着用されるほか、海外でもアフリカを代表する織物として広く知られ、親しまれています。
海が近く蒸し暑い調査地ですが、木かげにあるケンテの織り手たちの仕事場はいつでも涼しく、そよそよと心地よい風が通ります。
近所の女性が売り歩くハイビスカスのジュースやプランテン(調理用バナナ)チップスをおやつに買って、「ガーナ料理は美味いだろ、昨日の夕飯は何食べたんだ?」「昨日のサッカー見たか?」と他愛のないおしゃべりで私の相手をしてくれる2人の手元と足元は絶え間なく動き、少しずつケンテが織りあがっていきます。
風がそよぐマンゴーの木かげで、今日もガーナの手仕事は続きます。
写真 木製の手づくりの織機に座って仕事をする2人の織り手
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