第190回 「メルマガ写真館」
第190回「メルマガ写真館」
「サリーを着ないネパール人、着物を着ない日本人」
三木陽子(グローバル地域研究専攻)
「私はあまりサリーを着ません。」
わたしが福岡で出会ったネパール人女性のほとんどは皆こう言いました。サリーというとインドの女性たちが着る民族衣装というイメージがありますが、インドの隣国であるネパールでもサリーは着用されています。しかし最近では若者や中年の女性たち(10代~40代)を中心にサリー離れが増えており、西洋ファッションやクルタ・スルワール(パンジャビードレス)が日常着の主流になっています。わたしが福岡で出会った女性のなかには、「サリーの着方が分からないので着れない」と言う女性もいました。ですがその一方で、サリーには流行があり、毎年新しいデザインのものが登場しています。最近の流行りは、上手に着付けができなくてもきれいな見た目になる柔らかいシフォン生地のものだそうです。また、福岡でわたしが友達になった18歳と20歳の姉妹は、お祭りや結婚式などの時にサリーを着ると言って嬉しそうにサリーの写真を見せてくれました。
こうした状況は、「普段着物は着ないし、着方も知らない。けれども特別なとき(たとえば成人式や卒業式のとき)はかわいい着物を着たい!」と考える日本人のわたし(たち)と、なんだか重なるように思いました。
(写真1)福岡市でネパール人女性が経営するブティックの一角。写真に写っているのは、ほとんどレーンガという南アジア地域で履かれているスカートとブラウスのセット。最近ではサリーよりもレーンガの方が人気だそう。
(写真2)最近の流行りのシフォンサリー。
(写真3)綿製のプリントサリー。お店の人いわく、プリントデザインのサリーには流行がなく、世代を超えて着用されるそうです。
(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/5040583579321287