第172回 「メルマガ写真館」
第172回「メルマガ写真館」
「ブータンの犬」
石内良季(グローバル地域研究専攻)
ブータンにおいて犬は、人間の次に徳を積んでいる生き物として広く知られています。道端や寺院、学校、商店、森の中、どこにいっても犬がおり、犬好きにとっては天国のような国です。一方、増え続ける野良犬による騒音や襲撃に多くの人が悩んでいることも事実です。殺生を嫌うブータンでは、この問題に対して頭数制限のための避妊治療や狂犬病対策のワクチン接種を全国的に展開するなどの対処をとっています。8月、ブータンではコロナウイルスによってロックダウンが実施されました。残飯をもらい生きている野良犬の多くは、人影の消えた街中でどうしたらいいのか。ロックダウン実施後すぐ、ブータンではSNSを通して「犬たちを救おう!」という声が挙がり、王室や軍、市民が一体となり全国規模での餌やり作戦が実施されました。ブータンという国を理解するうえで、犬が重要な存在であることは間違いないでしょう。
写真1:寺院の近くで居眠りする菩薩のような犬
写真2:調査者に襲い掛かる子犬
写真3:商店の前で寝るまゆげ犬
写真4:首都ティンプーの時計台付近で昼寝する野良集団