第165回「メルマガ写真館」
「タナ・トラジャ地域の棚田景観について」
丹羽 龍一（東南アジア地域研究専攻）

この写真は、私がインドネシアのタナ・トラジャ地域内にて棚田に関する調査を行っていた時に撮影した棚田景観です。北部トラジャ県は平野部が少なく、こうした山地の急斜面を食料生産地として有効活用しています。また、タナ・トラジャ地域では水牛は葬儀などの儀礼に用いられるなどの理由から重要な存在とされています。この写真が示す棚田景観には小屋が点在しています。それは、急な斜面地においてでも牛舎が建てられ、水牛が飼育されているということを示します。水牛を重視するタナ・トラジャの社会の特徴が表れています。また、タナ・トラジャの水田のほとんどは天水田です。よって、このような緑色の棚田景観が見られるのは雨季のみとなっています。