「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」バックナンバー

メールマガジンバックナンバー 
■■■ August 2017 第170号 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数 1207】■■■



________今月号の目次_________________

□フィールド便り.......................「今も息づく出羽三山信仰」
□メルマガ写真館...........................「年に一度の<奇祭>」
□お知らせ..........................................入試情報など
□講演会・セミナー情報....................履修証明プログラムなど
□最近の出来事...........................FacebookとTwitterの情報
□編集子より
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■ フィールド便り
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「今も息づく出羽三山信仰」
黄 潔(東南アジア地域研究専攻)
 
 私はアジア・アフリカ地域研究研究科で、華南・東南アジアのタイ系
民族の伝統的政治構造について研究しています。ところが最近、日本の
山岳信仰にも強い関心を持つようになりました。

 東北山伏の修行の地、山形県の中央にそびえる出羽三山を初めて訪れ
たのは、昨年11月でした。鶴岡駅から修験道の本場である羽黒山(414
m)へ向かうバスは約40分かかります。道すがら、発光したかのような
神々しい雪に覆われた主峰の月山(1,984m)と湯殿山(1,504m)の遠
景を望める場所があります。以前から三山巡りをしようと思っていまし
たが、今年7月1日の月山の山開き行事で、その機会はやってきました。

 私は行事前日の朝から羽黒山の山麓の手向(とうげ)という集落にあ
る、妻帯修験が居住する宿坊である大聖坊に泊まりました。宿坊をはじ
め、多くの民家の軒下には羽黒山で昨年12月31日に行われた松例祭の大
松明行事で使われた引き綱が、魔よけとして掛けられています。人びと
の暮らしと信仰とのつながりは今も見えるのです。

 6月30日午後1時、羽黒山の入り口の随神門から2,446段の階段(約1.8
kmの道程)を登り、羽黒山山頂の鏡池と三神合祭殿に参拝しました。夜
は宿坊でごま豆腐や月山筍の油揚げ煮などの精進料理を味わいました。

 翌1日朝5時半、大聖坊で朝の勤行をしてから、6時半に出発しました。
朝7時頃までは雨で、8合目に着いたら月山には霧がかかっていました。
強風や斜面を覆う残雪から流れてくる冷気を感じましたが、無事に登り
ました。11時、月山山頂に建立された東日本大震災復興供養経塚と月山
神社にお参りし、被災者たちの安楽と往生を願いました。下山する時に
は晴れてきました。8合目に着くと、極楽浄土を意味する弥陀ヶ原と呼ば
れる湿原が、はっきり目に映りました。先達の言葉を借りれば、出羽三
山はやはり「神の山」だと感じました。

 2日朝9時、シャトルバスで手向から湯殿山の鳥居に向かい、そこから
山登りをし、裸足になって御神体に触れ、死者の名前が書かれた紙を岩
に貼り付けました。

 出羽三山を巡る夏峰の登拝は「三関三渡」と言われます。羽黒修験道
では、三山の特徴から、羽黒山は「現世利益を叶え」、月山は「祖霊が
鎮まる地」、湯殿山は「温泉を湧き出す巨岩の裂け目が新たな生命の誕
生を示す」とされます。羽黒山(現在)、月山(過去)、湯殿山(未来)
を順に訪れるという三山巡りは、江戸時代に庶民の間で「生まれかわり
の旅」として広がりました。それは出羽三山が平成28年度の「日本遺産」
に認定されたゆえんでもあります。

 では、出羽三山を目指す人々や山巡りする人々は、なぜ三山にやって
くるのでしょうか。湯殿山で出会った宮城県から来た30才の女性修験者
と話をしました。彼女は憑依者であると認められており、夫と一緒に地
域団体に入会し、宮城県栗原市の山中で修行しなから、陰陽の加持祈祷
を修めるように言われたそうです。霊力を高めるため、彼らは仕事があ
っても、年に3,4回羽黒修験の白装束を着て、本格的な三山巡礼を続け
ています。

 人びとはなぜ現在でも、山に対して畏敬の念を抱き、いにしえの人び
とと同様に、生命感溢れる自然を前にして、神の存在を感じるのでしょ
うか。山を歩けば、修行者たちが身に付ける鈴の音を時折聞きながら、
いたる所で色々な小堂や小祠、神社や寺院、経典を埋めて拝所とした経
塚に出会うことができました。山・滝・川・池・巨岩・森・湖沼・洞窟
などは、拝所となっていました。拝所は自然の風景の中に溶け込んで、
自然の一部になっており、このような拝所との出会いは、私に驚きと感
動をもたらしました。カミやホトケとの交流は自然のいのちとの交感に
ほかならないように感じました。それが、私が修験道をはじめとした日
本の山岳信仰に興味を持つことになった理由です。
 
*黄潔さんが撮影した写真は東南アジア地域研究専攻Facebook
https://www.facebook.com/AsafasAsia/
に掲載してあります。合わせてご覧ください。

 
 
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■ メルマガ写真館 ~フィールドで出会う~
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「年に一度の<奇祭>」
加藤 千里(東南アジア地域研究専攻)
 
 「タイプーサム」はシンガポールのインド系の人にとって重要なお祭
りの一つです。ヒンドゥー暦でタイ月のプーサムの日・・・・
 
(続きは次のURLをご覧ください)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/2017_08.html
 
 

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■ お知らせ
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□ 2018年度 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 入試日程
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*募集要項等の詳細は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。

◆ 第1回入学試験
(東南アジア地域研究専攻、アフリカ地域研究専攻、グローバル地域研究専攻)
出願期間:2017年8月21日(月)~8月30日(水)17時必着
試験日程:2017年9月13日(水)、14日(木)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application

◆ 第2回入学試験
(東南アジア地域研究専攻・アフリカ地域研究専攻のみ)
出願期間:2018年1月15日(月)~1月23日(火)17時必着
試験日程:2018年2月7日(水)、8日(木)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application

 
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■ 講演会・セミナー情報
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□ 履修証明プログラム
「京都大学 アジア・アフリカ地域研究入門」
(応募締切:平成 29 年 8 月 31日午後5時)
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アジア・アフリカ地域の生態・社会・文化・歴史に関する知見を体系的
に学び、フィールドワークという研究方法の面白さ、楽しさについて具
体例に基づいて理解を深めることができるプログラムです。期間は2017
年10月- 2019年1月で、週末(土・日)に講義と演習を行います。修了
者にはアジア・アフリカ地域研究研究科長名の履修証明書を交付します。

*プログラム詳細と募集要項は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/rishushomei
 
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□ 京都大学アフリカ地域研究資料センター
公開講座「アフリカから学ぶこと:アフリカ潜在力」
(要事前申込・受講料 1講座1000円,5講座4000円)
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京都大学では2011年から「アフリカ潜在力」プロジェクトを立ち上げ、
アフリカに生きる人びとがみずから創造し使い続けてきた知識や制度
(=潜在力)のありさまを解明して、それを人びとの和解や社会の修復
のために活用する道を探究してきました。今回のアフリカセンター公開
講座「アフリカから学ぶこと」は、この「アフリカ潜在力」を取り上げ
ます。2016年に開始した後継プロジェクトのメンバーがアフリカ潜在力
について実例を交えてわかりやすく語ります。
 
◆ 第1回 2017年10月21日(土)
「アフリカの潜在力が現代世界を救う」
 松田素二(京都大学大学院文学研究科・教授)
 
◆ 第2回 2017年11月18日(土)
「自然保護と人びとの潜在力:畏れる力となにもしない力」
 山越言(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授)
 
◆ 第3回 2017年12月16日(土)
「都市に生きる人びとの潜在力:カメルーンの小さな仕事から見えてくるもの」
 平野美佐(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授)
 
◆ 第4回 2018年  1月20日(土)
「社会変化のなかでの潜在力:アフリカで忠誠心を考える」
 大山修一(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授)
 
◆ 第5回 2018年  2月17日(土)
「アフリカ潜在力:他者とのつきあい方をアフリカ人に学ぶ」
 太田至(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・教授)

いずれの回も、
時間:15:00~17:00(開場 14:30)
場所:京都大学稲盛財団記念館3階中会議室
定員:50名(8月頃より受付開始)
*問い合わせ先や詳細は、次号以降のメールマガジンおよびアフリカ地
域研究資料センターウェブサイト上にて公開いたします。
 
 
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(ツイートをブログ形式で表示)
 
 
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■ 編集子より
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 本研究科では、今年10月から社会人向けの教育プログラム「京都大学
アジア・アフリカ地域研究入門」を始めます。アジア・アフリカ地域と
関わりのある人、将来行ってみたいと思っている人、フィールドワーク
を体験したいと思っている人等々、さまざまな要望に応えられるような
プログラムになっています。講義も演習もあり。アジア・アフリカ地域
をより深く知ってみたい方、週末に研究科で学んでみませんか? 第1期
(2017-18年度)生の応募締め切りは8 月 31日(必着)です。詳しくは、
上の「講演会・セミナー情報」に載っている研究科ホームページをご覧
ください。(NH)

 
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◆ このメールマガジンは、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究
研究科(ASAFAS)広報委員会、ASAFASキャリア・ディベロップメント室、
ASAFAS臨地教育・国際連携支援室より発行しています。

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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
広報委員会
ASAFASキャリア・ディベロップメント室
京都大学 アジア・アフリカ地域研究研究科 次世代型アジア・アフリカ
教育研究センター 臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/
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