「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」バックナンバー

メールマガジンバックナンバー 
■■■ June 2017 第168号 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数 1208】■■■



________今月号の目次_________________

□フィールド便り.....................「アッサラーム・アライクム」
□メルマガ写真館.....「遍在する聖者―イブラーヒーム・ニヤース―」
□お知らせ......................オープンキャンパス、入試情報など
□講演会・セミナー情報......................スリランカ研究会など
□最近の出来事...........................FacebookとTwitterの情報
□編集子より
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■ フィールド便り
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「アッサラーム・アライクム」
庄司 翼(グローバル地域研究専攻)
 
 「アッサラーム・アライクム」という挨拶があります。「あなた(が
た)の上に平安がありますように」という意味で、ムスリムの居るとこ
ろならばどこでも通じる言葉として有名です。この挨拶は、アラブ圏で
は通常、人のいるところへ新たに入っていく人がする挨拶だと見做され
ています。たとえば、既に人のいる部屋に入っていくときや、道端で何
人かが話しこんでいる近くを通り過ぎるときなどに「アッサラーム・ア
ライクム」と挨拶します。するとあなたが彼らに対して敵意がないこと
を示す事ができ、相手がそれに対して「ワ・アライクム・アッサラーム」
と返せば、相手もあなたに敵意がないという事になるので、お互いに安
心することが出来るというわけです。
 
 ところが、僕がフィールドとしている中央アジアのウズベキスタンで
は、事情が少し異なります。ムスリムの多いウズベキスタンでも「アッ
サラーム・アライクム」は通じるのですが、まずなによりも挨拶は「年
下の人が年上の人に対してしなければならない」ものなので、必然的に
「アッサラーム・アライクム」も年下の人が年上の人に対してしなけれ
ばならない挨拶となっているのです。それに対する返事としては、もし
も相手が年下ならば「ワ・アライクム・アッサラーム」と返しても良い
のですが、年上の方から先に挨拶されてしまった場合には「アッサラー
ム・アライクム」で返すのが礼儀ということになります。どちらが後か
らその場にやって来たか、ということは関係ありません。
 
 ウズベク語の勉強を始めたてで何もわからなかったころ、僕はお世話
になっていたウズベキスタンの先生(アラブ圏での留学経験あり)の
「アッサラーム・アライクム」に一度だけ「ワ・アライクム・アッサラ
ーム」と返事をしてしまった事があります。相手の先生はびっくりした
表情をしたあと、急にウズベク語で話すのをやめて、アラビア語で話し
だしました。おそらく、ウズベク語であれば失礼な返答でもアラビア語
としては礼儀に適ったものだったので、僕のことを思ってそちらでの会
話に切り替えてくださったのでしょう。
 
 このルールは日本でいえば敬語の感覚に近いようで、お医者さんなど
「先生」と呼ばれる職に就いている方には、自分から「アッサラーム・
アライクム」と挨拶するのが良いようです。お医者さんの方では、「ワ
・アライクム・アッサラーム」と返しても失礼ではないし、相手を尊重
するならば「アッサラーム・アライクム」と返しても良い。つまり選択
権があるということになります。
 
 帰国後、もしかしたら自分の記憶違いかもしれないと思い、イエメン
の友人にこの話をして、youtube にあがっているウズベキスタンの動画
を見せたところ「えええ信じられない!おもしろい!」と言われました。
同じ「アッサラーム・アライクム」という言葉でも、地域が違うと使い
方も少し異なるようです。同じようで全然ちがう、イスラーム世界の多
様さに触れた瞬間でした。
 
 
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■ メルマガ写真館 ~フィールドで出会う~
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「遍在する聖者―イブラーヒーム・ニヤース―」
末野 孝典(グローバル地域研究専攻)
 
 セネガルの首都ダカールの南東に位置するカオラクには、かつてひと
りの有名なイスラームの聖者がいた。彼の名は ・・・・

(続きは次のURLをご覧ください)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/2017_06.html

 
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■ お知らせ
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□ 2018年度 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 入試日程
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*募集要項等の詳細は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。

◆ 第1回入学試験
(東南アジア地域研究専攻、アフリカ地域研究専攻、グローバル地域研究専攻)
出願期間:2017年8月21日(月)~8月30日(水)17時必着
試験日程:2017年9月13日(水)、14日(木)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application

◆ 第2回入学試験
(東南アジア地域研究専攻・アフリカ地域研究専攻のみ)
出願期間:2018年1月15日(月)~1月23日(火)17時必着
試験日程:2018年2月7日(水)、8日(木)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application

◆ 学内特別選抜試験
出願期間:2017年5月24日(水)~6月7日(水)17時必着
試験日程:2017年6月14日(水)~6月28日(水)までの間を予定
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/gakunai
 
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□ 大学院説明会 @ 東京オフィス2017
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日時:2017年7月1日(土) 14:00~16:00
場所:京都大学 東京オフィス 新丸の内ビルディング 10階 
*詳細情報と申込方法は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/tokyo2017
 
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□ グローバル地域研究専攻2017年度夏季オープンキャンパスの開催
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日時:2017年7月22日(土)13:30~18:00(受付開始13:00)
場所:京都大学 本部キャンパス 総合研究2号館4階 大会議室(AA447)
*詳細情報と申込方法は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/senkooc2017/oc-global2017july


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■ 講演会・セミナー情報
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 □ 南アジアの開放経済(KINDAS研究グループ1-B)研究会
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日時:2017年 6月 25日(日) 13:30~17:30
会場:京都大学 本部キャンパス 総合研究2号館4階 カンファレンス・ルーム(AA463)
演者及び演題:
川中薫(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・ 特任研究員)
「デリー・アパレル産業における縫製工の移動と技術形成」
内川秀二(専修大学・教授)
「 インドのアパレル産業における経営者の出身カーストと社会移動」
http://www.indas.asafas.kyoto- u.ac.jp/event/20170624-2

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 □ 2017年度第2回ネパール・ヒマーラヤ研究会
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日時:2017年 6月 26日(月) 16:30~18:00
会場:京都大学 本部キャンパス 総合研究2号館4階 カンファレンス・ルーム(AA463)
演者:Stephen Christopher (Syracuse University)
演題:Fractured Caste Consciousness and the Problem of State Recognition in Himachal Pradesh, India
http://www.indas.asafas.kyoto- u.ac.jp/event/20170626

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 □ 2017年度第1回スリランカ研究会
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日時:2017年 7月 14日(金) 14:30~17:30
会場:京都大学 本部キャンパス 総合研究2号館4階 大会議室(AA447)
演者及び演題:
栗原俊輔(宇都宮大学・講師)
「ガバナンスと貧困―紅茶プランテーション農園のエステート・タ ミルの構造的貧困」
鈴木睦子(茶道裏千家横浜淡交会・准教授)
「 紅茶産業を支えてスリランカの優れた社会福祉策を可能にした移住 労働者―厳しい過去から、平和的発展への道のり―」
http://www.indas.asafas.kyoto- u.ac.jp/event/20170714-2

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 □ 第228回 アフリカ地域研究会
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日時:2017年 7月 20日(木) 15:00~17:00
会場:京都大学 稲盛財団記念館 3階 中会議室
演者:網中 昭世(日本貿易振興機構アジア経済研究所・研究員)
演題:アフリカにおける民主化の行方 ―モザンビークにおける政治暴力発生のメカニズム―
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/as/index.html
 
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 □ 東南アジア研究 公開講座
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日時:2017年 7月 24日(月) 14:30~17:00(14:00開場)
会場:京都大学 本部キャンパス 総合研究2号館4階 大会議室(AA447)
演者:Pascal Bourdeaux(フランス・Ecole Pratique des Hautes Etudes 高等研究実習院・准教授)
演題:Overview on the History of Protestantism in Vietnam and Mainland Southeast Asia:
>From colonial establishment to postcolonial dissemination
コメンテーター:片岡樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授)
問い合わせ先:伊藤正子(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授)
itomasak@asafas.kyoto-u.ac.jp
 
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□ 京都大学アフリカ地域研究資料センター
公開講座「アフリカから学ぶこと:アフリカ潜在力」
(要事前申込・受講料有)
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京都大学では2011年から「アフリカ潜在力」プロジェクトを立ち上げ、
アフリカに生きる人びとがみずから創造し使い続けてきた知識や制度
(=潜在力)のありさまを解明して、それを人びとの和解や社会の修復
のために活用する道を探究してきました。今回のアフリカセンター公開
講座「アフリカから学ぶこと」は、この「アフリカ潜在力」を取り上げ
ます。2016年に開始した後継プロジェクトのメンバーがアフリカ潜在力
について実例を交えてわかりやすく語ります。

◆ 第1回 2017年10月21日(土)
 講師:松田素二(京都大学大学院文学研究科・教授)
◆ 第2回 2017年11月18日(土)
 講師:山越言(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授)
◆ 第3回 2017年12月16日(土)
 講師:平野美佐(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授)
◆ 第4回 2018年  1月20日(土)
 講師:大山修一(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授)
◆ 第5回 2018年  2月17日(土)
 講師:太田至(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・教授)

いずれの回も、
時間:15:00~17:00(開場 14:30)
場所:京都大学稲盛財団記念館3階中会議室
定員:50名(8月頃より受付開始)
*問い合わせ先や詳細は、次号以降のメールマガジンおよびアフリカ地
域研究資料センターウェブサイト上にて公開いたします。
 
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■ 編集子より
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 本号のエッセイはどちらも、イスラーム(イスラム教)のローカルな
実践を紹介するものでした。イスラームと一言でいっても、人々に親し
まれるあり方や実践のかたちが土地によってこんなに多様なんだと思う
と、とても興味深いです。地域研究の醍醐味のひとつは、こうした調査
地での具体的なモノやコトや人との出遭いにあるのかもしれません。自
分の先入観をくつがえすような出来事との遭遇が、思いがけず、そこで
暮らす人々や地域への深い理解を導くことがあるように思います。
 
 証拠にもとづかない「フェイク・ニュース」によって世論が影響をう
けるような潮流が蔓延しているような時代にあって、地味でも堅実な方
法で現場に接近しようとする地域研究の営みがもつ意義は何なのか、改
めて考えさせられています。(SN)
 
 
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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
広報委員会
ASAFASキャリア・ディベロップメント室
京都大学 アジア・アフリカ地域研究研究科 次世代型アジア・アフリカ
教育研究センター 臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/
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