「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」バックナンバー
メールマガジンバックナンバー
■■■■■■■■■■■ July 2014 第133号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数 1165 】■■■
____________今月号の目次________________
□「ヒョウ捕獲大作戦」...........................フィールド便り
□「小さな本屋さん」...........................メルマガ写真館II
□お知らせ ..................................ASAFAS最新情報など
□アフリカ地域研究資料センター情報 ................新刊情報など
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■フィールド便り
~みる・きく・ふれる:アジアとアフリカのフィールドから~
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「ヒョウ捕獲大作戦」
...........................山根裕美(アフリカ地域研究専攻)
わたしが、調査をしているケニアの首都ナイロビは、野生動物と人々
の生活が隣り合わせの、大変ユニークな都市です。そこに生息してい
る野生のヒョウとそこに住む人々との関わりに注目して、保全につい
て研究を進めています。
そんな日々の一コマです。
「キベラにヒョウが出た!」と通報が入りました。
キベラは、首都ナイロビにある東アフリカ最大のスラム街。
森が残るナイロビ市内には、野生のヒョウが生息しているのです。
麻酔銃をもった獣医と、網を持ったレンジャーと共に車に乗り込み、
現場に到着すると、テレビ局などの報道関係者、住民や通りすがりな
ど500人を超える観衆が待ち受けていました。「早くしろ。野生動
物から市民を守れ!」と怖いくらいの熱気です。ヒョウが危険なのを
知っていて、遠巻きに様子を伺っています。
われ先にと、一人の男性が「こっちだ」と案内してくれました。家屋
が密集した細い入り組んだ路地を入っていくと、一人の女性が所在な
げに立っています。
「外で洗濯物を干していたら、ブチのある大きな動物が後を通って家
に入ったの。ヒョウだわ」と。広さ5畳ほどの家は、土壁とトタンで
出来ていて、扉と20cm四方のガラスがはまっていない窓が一つだけ
あります。電気はなく、昼間なのに中は真っ暗。目を凝らしても何も
見えません。きっと、ヒョウは追いつめられて狂暴になっているはず。
私たちも息を潜めます。近づき過ぎれば、鋭い爪でひっかかれるかも
しれません。麻酔銃で撃つこともできません。「神様助けて」と呪文
のように繰り返す先ほどの女性を避難させ、窓の隙間から、慎重に長
い棒を突っ込み、一気にかき回します。ベッドも机もひっくり返し、
もう隠れるところはありません。
と、その時、中で何かがサっと動く気配がしました。
その様子でレンジャーのおじさんは「あ~ぁ」と得意気に微笑み、
ドアをすり抜け中に踏み込みました。捕獲成功。
人騒がせな「ヒョウ」の正体はサーバルキャット(=小型の野生のネコ)
だったのです。
調査研究と一見関係ないように思えるこのような活動は、野生動物と
人々の共存を目指すという難しいテーマにおいて、重要な役割を果た
しています。地域の人々が野生動物の脅威から「誰か」に守られてい
ると感じることで、研究者への信頼が生まれ、野生動物に対する苦い
感情が緩和されるのです。それこそが野生動物と人の共存を進めてい
く鍵となっています。
このメールマガジンのバックナンバーは、こちらのページから
ご覧いただけます。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/
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■メルマガ写真館II ~フィールドで出会う~
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「小さな本屋さん」
................青木 敬(アフリカ地域研究専攻)
綺麗で独創的な歌声が小さな島の小さな小さな本屋さんで響いています。
楽器と身体だけを使って芸術的な空気を創りあげていきます・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/2014_07.html
(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)
↓「メルマガ写真館」バックナンバー
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/phots_list.html
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■■■お知らせ■■■
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□アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)情報
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・学位論文公聴会について
詳細は以下のURLよりご覧いただくことができます。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/news/announcements/3608
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・11/2 人間文化研究機構 第25回公開講演会・シンポジウムプログラム
【テーマ】「グローバル・インドのいま―経済発展と民主政治」
【主催】人間文化研究機構 地域研究推進センター
人間文化研究機構(NIHU)プログラム 現代インド地域研究
【共催】京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
【担当機関】 人間文化研究機構本部事務局 「人間文化研究機構(NIHU)
プログラム 現代インド地域研究」京都大学拠点
【日時】平成26年11月2日(日)13:00~17:00(予定)
【会場】 京都大学百周年時計台記念館大ホール(京都市左京区吉田本町)
【対象者】一般(参加無料、申し込み先着順)
【参加想定人員】500人
シンポジウムの趣旨やスケジュールについては、以下のURLよりご覧
いただくことができます。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/news/events/3684
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・10/18 NIHU合同集会
「グローバル・イスラームの最前線-変貌の時代を読む-」
【日程】10月18日(土)14:30-17:30 場所:稲盛財団記念館大会議室
【発表者(敬称略)】
山根聡「現代イスラーム思想の拡散とマウドゥーディー著作の翻訳」
末近浩太「現代イスラーム主義組織のグローバル性:
レバノン・ヒズブッラーの革命闘争」
東長靖「イスラーム神秘主義の現代的意義」
長岡慎介「不安定化するグローバル資本主義とイスラーム経済の可能性」
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□臨地教育支援センター プログラム情報&フィールド・ワーク報告
昨年度の海外派遣報告書をご覧いただけます。
また本年度、臨地教育支援センターで派遣される方は、派遣に必要な
事務書類をダウンロードしていただくことができます。
http://www.iasu.kyoto-u.ac.jp/
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□頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム 情報
http://brain.cseas.kyoto-u.ac.jp/
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□ ASAFAS附属 イスラーム地域研究センター 情報
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kias/
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□ ASAFAS附属 現代インド研究センター 情報
http://www.indas.asafas.kyoto-u.ac.jp/
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【INDAS】[2014年度 現代インド・南アジアセミナ―]参加者の募集開始
【日 時】2014年9月15日(月・祝)~17日(水)
【場 所】広島大学 東広島キャンパス 文学研究科2F B204大講義室
(〒739-8522 東広島市鏡山1丁目2-3)
URL:https://www.hiroshima-u.ac.jp/top/access/higashihiroshima/
【お問い合わせ】
NIHUプログラム「現代インド地域研究」京都大学中心拠点事務局
indas_office[at]asafas.kyoto-u.ac.jp(送信の際は[at]を@に変換する)
http://www.indas.asafas.kyoto-u.ac.jp/
Tel/ Fax: 075-753-9627
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■京都大学 アフリカ地域研究資料センター 情報
http://www.africa.kyoto-u.ac.jp/
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□新刊情報
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◆【京都大学アフリカ研究出版助成】によって2冊の書籍が出版されました。
・坂梨健太(著)『アフリカ熱帯農業と環境保全』(昭和堂)
・關野伸之 (著) 『だれのための海洋保護区か-西アフリカ水産資源保護
の現場から』(新泉社)
◆【京都大学アフリカ研究シリーズ】013巻が出版されました。
・久田信一郎 (著) 『村人とともに測る-エチオピアにおける参加型立体
地形モデル手法を活用した実践的地域研究』(松香堂書店)
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□Twitter 情報
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京都大学アフリカ地域研究資料センター
・・・京都発のアフリカ研究関連情報を発信していきます。
http://twitter.com/Africa_Kyoto_U
http://twilog.org/Africa_Kyoto_U(ツイートをブログ形式で表示)
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□メールマガジンに対するご意見・ご感想お待ちしております。
http://form.mag2.com/gianoubima
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◆編集子より◆
メディアでも盛んに報じられましたが、7月4日の総長選考会議で理学
研究科の山極壽一教授が本学の次期総長として選出されました。熱帯ア
フリカに生息する野生ゴリラ研究の第一人者としてたいへん著名な方で
すが、動物生態学研究に留まらず、早い時期から地域住民を主体とした
住民参加型の保全活動を支援されてきました。現在も研究成果の地域へ
の還元を目指したJST/JICAのSATREPS事業を主導し、ガボンの野生動物と
地域住民との共生を模索しておられます。大学運営についてさまざまな
困難が指摘されているこの時期に、地道なフィールドワークに基づき、
文理融合、基礎研究と応用研究との両立を実践し、本研究科とのつなが
りも深い「地域研究者」を総長に戴くことができることを、ひとまずは
歓迎したいと思います。(GY)
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◆このメールマガジンは、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究
研究科(ASAFAS)広報委員会、ASAFASキャリア・ディベロップメント
室、京都大学学際融合教育研究推進センター・総合地域研究ユニット
臨地教育支援センター(IASU)より発行しています。
◆ご意見・ご感想を以下フォームよりお気軽にお寄せください。
掲載希望の記事や研究会の案内なども受け付けています。
宛先:http://form.mag2.com/gianoubima
◆バックナンバーは、こちらのページから読むことができます。
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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
広報委員会
ASAFASキャリア・ディベロップメント室
京都大学学際融合教育研究推進センター・総合地域研究ユニット
臨地教育支援センター(IASU)
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
http://www.africa.kyoto-u.ac.jp/
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