「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」バックナンバー
メールマガジンバックナンバー■■■ February 2014 第128号 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数 1177】■■■
____________今月号の目次________________
□「親族呼称と調査者」 ..........................フィールド便り
□「雲の上のシークレットナイトライブ」 ........メルマガ写真館II
□お知らせ ............臨地教育支援センターHP開設のお知らせなど
□アフリカ地域研究資料センター情報 ..........研究会のご案内など
□編集子より
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■フィールド便り
~みる・きく・ふれる:アジアとアフリカのフィールドから~
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「親族呼称と調査者」
.......................................西島 薫(東南アジア地域研究専攻)
私は、2012年8月から10月までインドネシア南スラウェシ州マカッサルでインド
ネシアの語学研修をしていました。私の調査対象は、ボルネオ島に暮らすイバン
人です。2ヶ月間の滞在中、なんとか10日ほどボルネオ島、西カリマンタン州の
イバン人の村に滞在する機会を得ることが出来ました。
西カリマンタン州に住むイバン人は、ロングハウスとよばれる高床式長屋に住ん
でいます。ロングハウスはさらに家族ごとのビレックと呼ばれる居室に分かれて
います。多くの場合、1つのロングハウスは10~30ほどのビレックから構成されて
おり、1つのビレックには3世代の家族が住んでいます。イバン研究では、この家
族を「ビレック家族」と呼んできました。
お世話になったビレック家族は、1世代目の夫婦は正確な年齢は不明ですがおそ
らく60代。2世代目の夫婦は夫が37才で妻が35才。3世代目は、12才の息子と、5
才と7才のふたりの娘でした。私の年齢は当時24才です。家族の一員として受け
入れられたわけですが、私の位置づけは微妙なものでした。3世代目の夫婦から
みれば、私の年齢は「孫」にあたるでしょうし、5才と7才の娘たちからすれば、
24才の未婚男性は、「兄」とするには少し年をとりすぎています。父親か母親の
兄弟、つまり、「叔父」と認識するのが自然でしょう。37才の夫の方は、私を自
分の「息子」として位置づけてくれました。
確かに、村の日常的な生活について右も左も分からない私の行動は、知識や技能
を身につけつつ、「一人前」として認知されていく社会の文脈では、本当に幼く
見えたでしょう。私自身も自分を本当に子供のように感じていたので、ビレック
家族の中における自分の位置づけを決めかねて、曖昧な振る舞いをしていました。
「ウチョー(孫)」と呼ばれれば、祖父母世代には「アキ(おじいちゃん)」、
「イニ(おばあちゃん)」と呼び、35才の妻に「アディ(弟)」と呼ばれた時に
は、「アカ(姉さん)」と応えるなど、やや場当たり的に対処していました。さ
らに、間違って「アカ」ではなく、「インダイ(お母さん)」と呼んでしまうこ
ともあり、混乱を助長してしまったりもしていました。ビレックの人たちも相当
戸惑ったでしょう。
7日目の夕食のこと、ビレック家族の37才の夫と5才の娘とが何やら言い合いを始
めました。娘が「おじちゃん」と私を呼んだところで、父親が「兄さんだろ。兄
さんと呼びなさい」と、私をめぐって言い争っているのです。居心地の悪さと申
し訳なさを感じつつも、自分の位置がどのように定まっていくのかを期待しつつ
事の推移を見守っていました。結局、その場では、父と娘の間で合意はとれず、
結論は出ず仕舞い。5才の娘は、私を「おじちゃん」と呼び続けるし、老夫婦は
「孫」と呼び続け、夫は「息子」と呼び続けました。この矛盾が解消されるには
もう少し時間が必要なようです。
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このメールマガジンのバックナンバーは、こちらのページから
ご覧いただけます。
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■メルマガ写真館II ~フィールドで出会う~
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「雲の上のシークレットナイトライブ」
...............大出亜矢子(東南アジア地域研究専攻)
東インドネシア、スラウェシ島のトラジャでは、12月の一か月間はラブリー
ディセンバーと呼ばれ、地元の有力者の葬送儀礼や闘牛、婚姻儀礼、といっ
た大きなイベントが集中して行われます。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/2014_02.html
(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)
↓「メルマガ写真館」バックナンバー
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/phots_list.html
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■■■お知らせ■■■
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□臨地教育支援センターのホームページが開設されました!
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臨地教育支援センターの活動内容や、海外に渡航した京都大学大学院アジア・ア
フリカ地域研究研究科の院生のみなさんのフィールドワーク・レポートなどをご
覧いただくことができます。フィールドの写真も満載です。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/shien/
サイトのあちらこちらで赤いマントをひろげて飛び回っているのは、臨地教育支
援センターのキャラクター「リンちゃん」です。よろしくお願いします!
また臨地教育支援センターのfacebookも始めました。
センターの最新の活動内容や海外渡航に関する役立つ情報を発信していきますの
で、こちらも是非チェックしてください。
(「いいね!」をお待ちしています!!)
https://www.facebook.com/pages/%E8%87%A8%E5%9C%B0%E6%95%99%E8%82%B
2%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC/56683377673
3317?hc_location=timeline
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□ASAFASオープンキャンパス 情報
オープンキャンパスと東京説明会の情報は次号メルマガに掲載します
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
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□頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム 情報
http://brain.cseas.kyoto-u.ac.jp/
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□ 映像ドキュメンタリー・フォーラム
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「東南アジアにおける多元共生」
日時: 2014年3月11日(火) 13:00-18:15
場所: 稲盛財団記念館3階大会議室(330)
http://sea-sh.cseas.kyoto-u.ac.jp/visual-documentary-project-2013/
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■京都大学 アフリカ地域研究資料センター HP掲載情報
http://www.africa.kyoto-u.ac.jp/
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□研究会のご案内
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◆第23回 KUASS(Kyoto University African Studies Seminar)
「Updating Khoisan Phonetics」
日時:2014年3月26日(水) 15時00分~18時00分
(※講演は英語で行われます。詳細は下記URL。)
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/kuass/index.html
◆公開講演会 「現代アフリカにおける紛争のリアリティ」
日時:2014年3月29日(土)15:00~17:00
事前申込不要/参加無料。詳細は下記URL。
http://www.africa.kyoto-u.ac.jp/img/20140329flyer.pdf
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□日本アフリカ学会創立50周年記念 市民公開講座:
アフリカ研究最前線「アフリカ、その魅力と可能性」のご案内
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全8回シリーズ 好評開催中
時間:15:00~17:00
会場:京都大学稲盛財団記念館3階、大会議室
(地図:http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/access.html)
事前申込不要/参加無料
今後の予定
◆第7回 2014年3月15日:政治
「民主化の20年を考える」
岩田拓夫(立命館大学国際関係学部・准教授(2013年4月より))
◆第8回 2014年4月12日:映像・メディア
「お好みどおりのアフリカを作る」
飯田 卓(国立民族学博物館民族社会研究部・准教授)
詳細情報:
http://african-studies.com/j/seminars/2013jaas50.html
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□Twitter 情報
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京都大学アフリカ地域研究資料センター
・・・京都発のアフリカ研究関連情報を発信していきます。
http://twitter.com/Africa_Kyoto_U
http://twilog.org/Africa_Kyoto_U(ツイートをブログ形式で表示)
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□メールマガジンに対するご意見・ご感想お待ちしております。
http://form.mag2.com/gianoubima
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◆編集子より◆
デモで騒々しいバンコクへ2014年2月にやってきました。サンスクリッ
ト語のジャーティに由来するチャートという語が、タイではnationに
相当する言葉として用いられています。愛国や売国というときの“国”
もチャートです。警察が2月18日にデモ隊と衝突した現場には何台もの
警察車両が放置され、赤・白・青の3色の横縞が塗られていました。デ
モ隊が運動の象徴に用いる“国”旗です。近づいてみると、車体の目に
つきやすい箇所に「警察は心に“国”を持つべきだ」という落書きがあ
りました。デモは“国”のための闘争です。この“国”は国民ではなく
君主制を指しているのでしょう。デモ集会現場で販売される「私たちは
国王の民」と書かれたTシャツの着用者を見てこの感を深めました。(YT)
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◆このメールマガジンは、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究
研究科(ASAFAS)広報委員会、ASAFASキャリア・ディベロップメント
室、京都大学学際融合教育研究推進センター・総合地域研究ユニット
臨地教育支援センター(IASU)より発行しています。
◆ご意見・ご感想を以下フォームよりお気軽にお寄せください。
掲載希望の記事や研究会の案内なども受け付けています。
宛先:http://form.mag2.com/gianoubima
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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
広報委員会
ASAFASキャリア・ディベロップメント室
京都大学学際融合教育研究推進センター・総合地域研究ユニット
臨地教育支援センター(IASU)
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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