「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」バックナンバー
メールマガジンバックナンバー
■■■ July 2013 第121号 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数 1161】■■■■
__________今月号の目次_______________
□「内臓占い」 ................................フィールド便り
□「大人と子どものはざま」 ..................メルマガ写真館II
□お知らせ .............大学院入試情報(研究生・科目等履修生)
□アフリカ地域研究資料センター情報 ..........出版助成情報など
□編集子より
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■フィールド便り
~みる・きく・ふれる:アジアとアフリカのフィールドから~
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「内臓占い」 ..................山森小夜 (アフリカ地域研究専攻)
長かった調査を終え、タンザニアのキリマンジャロ州にある農村での
最後の日の事。調査を手伝ってもらった労をねぎらい、村のホスト
ファミリーとご近所の人で宴を開き、羊の焼肉を食べようということ
になりました。朝8時から羊を飼っているご近所さんに向かい、羊と
ご対面。その羊を枯れたトウモロコシの茎で追いたてながら家まで連
れて来て、家の子供や近所の人たちが庭の合歓の木の下に集まる中、
ホストファミリーのお父さんが慣れた手つきで解体してくれました。
解体作業を始めてから小一時間ほどたった時の事。毛皮を剥がし終わ
り内臓を取り出す段階で、取り出した臓物を入れたバケツの周りにみ
んなが集まってきました。注意深く見てみると、お父さんが羊の内臓
を念入りに確かめ、腸の筋や血管を指さしながら皆になにか説明をし
ています。現地語の方言交じりでよく聞き取れません。何をしている
のだろう?
羊を捌き終え、皆で肉を焼いてお腹がはちきれそうになるほど食べた
後、軒下に座り食休みをしている時に、「さっき内臓を見ていたけど、
あれ、何をしていたの?」と聞いてみました。
「今年の家運や雨量、それと死人が近々出るかどうかを占っていたん
だ。」
予想外の答えに意表を突かれ、食いつくように占い方を詳しく聞いて
みました。例えば雨量を占う時何を見ているかというと、胆嚢の分泌
液の溜まり具合を見るそうです。胆嚢の袋が液で満ちていれば今年の
雨量は良好、萎んでいれば不足。この占い結果を見て、乾燥に強い作
物を植えるなどしているようです。他には、肝臓への血管の這い方で
家運、腸に点在する血だまりの位置や数で死の予兆、といったことま
で占えるとのことでした。
どうしてそんなに占いに詳しいのだろう、と疑問に思い尋ねました。
「この村ではね、お爺さんやお婆さんのような伝統に詳しい人と暮ら
したことがあれば、誰でも家畜を屠殺する時に占いをする様子を見て
きているよ。その時に自然と占いの仕方を教えられ覚えていくんだ。」
との答え。屠殺の場で伝わるのは占いだけはなく、様々な伝統医療の
知識も同時に伝えられます。「胃の中には羊が食べた薬効植物のエキ
スが凝縮されているんだ」と、たらいに入れておいた胃の内容物を丸
めて団子にして乾燥させたり、絞り汁を羊のスープに入れて飲んでい
る様子も見られました。
こうして、家畜を屠る場を通して人々の生きる知恵や伝統が受け継が
れてきたわけですが、一方でこうした在来の知識は、若い世代になる
につれ薄れてきています。その日は日曜日だったので、近くの中学校
の女子も見に来ていましたが、「肉は普段から食べるけど、解体は初
めて見た…。」と語っていました。しかし最初はそんな戸惑いを見せ
ていた子供たちも、肉が焼きあがればおいしそうに頬張ります。経験
とはこうして血となり肉となっていくのでしょう。
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ご覧いただけます。
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■メルマガ写真館II ~フィールドで出会う~
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「大人と子どものはざま」.........原将也(アフリカ地域研究専攻)
わたしが調査するザンビアの北西部では、マキシと呼ばれる仮装をし
て踊るダンスが伝統儀礼として受け継がれています。この儀礼は・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/2013_07.html
(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)
↓「メルマガ写真館」バックナンバー
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/phots_list.html
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■お知らせ
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□京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 入試情報
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京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)は、アジア・
アフリカ地域に関する深い理解と国際的・総合的視野をもつ先導的な
地域研究者および地域実務者の養成を目指しています。
まもなく、10月入学の研究生および科目等履修生の願書出願です。
希望される場合は、下記URLから詳細をご確認ください。
◆出願期間(研究生および科目等履修生):
平成25年8月19日(月)~8月23日(金)
◆研究生出願要項
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/research-student
◆科目等履修生出願要項
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/non-degree
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■京都大学 アフリカ地域研究資料センター HP掲載情報
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□第4回京都大学アフリカ研究出版助成のご案内
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アフリカ地域研究資料センターでは,平成25年度総長裁量経費(若手
研究者に係る出版助成事業)の支援を受けて、「京都大学アフリカ研究
出版助成」を実施します。下記URLより公募要領(PDF)をご参
照のうえ、多数応募いただきますようお願いいたします。
応募締切: 2013年9月18日(水)
公募要領 >>
http://www.africa.kyoto-u.ac.jp/4th_shuppanjyosei.pdf
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□日本アフリカ学会創立50周年記念 市民公開講座のご案内
(日本アフリカ学会・アフリカ地域研究資料センター共催)
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この講座では、日本アフリカ学会の創立50周年を記念して、長年にわ
たってアフリカを研究してきた学会員が最新の研究成果をわかりやす
くお話しします。全8回シリーズ。(申込不要・入場無料)
◆今後の予定
第4回 2013年10月19日(土):宗教 「呪術―現代アフリカの見えない力」
第5回 2013年12月14日(土):経済 「急成長で岐路に立つアフリカ」
第6回 2014年 2月15日(土):芸術・音楽 「アフリカ音楽の魅力:無文字社会との関連から」
第7回 2014年 3月15日(土):政治 「民主化の20年を考える」
第8回 2014年 4月12日(土):映像・メディア 「お好みどおりのアフリカをつくる」
◆問合せ先・詳細情報はポスター・チラシ(PDF)をご覧ください。
ポスター>> http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/jaasposter.pdf
チラシ >> http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/jaas50thFlyernaka.pdf
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□Twitter 情報
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京都大学アフリカ地域研究資料センター
・・・京都発のアフリカ研究関連情報を発信していきます。
http://twitter.com/Africa_Kyoto_U
http://twilog.org/Africa_Kyoto_U(ツイートをブログ形式で表示)
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□メールマガジンに対するご意見・ご感想お待ちしております。
http://form.mag2.com/gianoubima
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◆編集子より◆
陽光と蝉の声で満たされた空気の中を自転車で走っていると、眩暈が
するようである。そういう日本の夏は好きだ。アフリカの暑さも、場
所により違った彩りをもっている。最初にナイロビに着いたときは、
標高のせいですこし黒っぽい空から差す陽光に、がんと頭をなぐられ
たような気がした。キンシャサの暑さは、そこに住む人々と相まって、
なにか沖縄っぽい猥雑さである。熱帯林の中の村はかんかんと日が照
りつけるが、一次林に入るとひんやりと湿った空気が迎えてくれる。
それぞれに独特だが、それぞれに好きな暑さである。(DK)
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◆このメールマガジンは、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究
研究科(ASAFAS)広報委員会、ASAFASキャリア・ディベロップメント
室、ASAFASフィールドワーク・インターンシップ支援室より発行して
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◆ご意見・ご感想を以下フォームよりお気軽にお寄せください。
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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
広報委員会
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協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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