「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」バックナンバー
メールマガジンバックナンバー■■■ October 2011 第100号 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数 1070】■■■
___________今月号の目次_________________
□「巨大な来客」................................フィールド便り
□「カゴ仲買人の一日」........................メルマガ写真館II
□お知らせ........................ASAFASスタッフ著作出版物紹介
□GCOE情報..............................大学院派遣報告など
□セミナー情報
□編集子より
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■フィールド便り
~みる・きく・ふれる:アジアとアフリカのフィールドから~
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「巨大な来客」
..........泉直亮(アフリカ地域研究専攻)
「テンボだ! テンボ!! 逃げるぞ!!!」
牧夫の少年が、わたしのテントに来て叫びました。
タンザニアでの調査で、放牧キャンプに滞在していたとき、
夜中の3時半ごろのことです。
キャンプの番犬がけたたましく吠えだしたので、わたしは
寝ぼけた意識で、またハイエナが、うちの子牛を襲いにき
たのかと思いました。しかし、ようすを見に行った少年の
口からは、予想外のことば…テンボ(=ゾウ)だというの
です。
にわかに目が覚め、わたしは、このあたりで漁師がゾウに
殺されたという事件を思い出しました。慌ててテントを飛
び出すと、闇夜には数体のうごめく大きな影。
懐中電灯で照らすと、15メートルぐらい先でしょうか、
1頭が鼻を上げ、「パォーン!!!」と鳴きました。腹という
か心臓に響く音です。
「明かりを消せ!襲って来るぞ!」と牧夫たちが注意しま
した。しかし、わたしは彼らと違って、夜目がききません。
彼らは、そんなわたしを誘導してくれ、わたしたち5人は、
着の身着のままでゾウから逃げ出しました。いや、ひとり
の雇われ牧夫は、何も着ていませんでしたが。
タンザニアで調査をしていると、日本では経験しない、
さまざまな自然の脅威に遭遇します。そんななかで、たく
ましく生きる人びとと暮らしていると、自分まで生きるパ
ワーを分けてもらったような気がしてくるので、不思議で
す。
もちろん、そんな呑気なことばかりも言っていられません。
たとえば、タンザニアやアフリカに限らず、多くの国や地
域で、野生動物を保護する政策と、その害に悩む地域住民
という対立が問題になっています。なかでもゾウは、よく
問題にされます。
翌朝、牧夫のひとりが「昨夜は、ゾウで大変だったな」と
笑いかけてきました。彼は、こう続けました。
「でも、ゾウはこの放牧地を守ってくれているんだよ。ゾ
ウがいなくなれば、農耕民たちが耕しにきて、家畜を放牧
しにくくなるから。」
なるほど、野生動物と地域住民をめぐる問題は、そう単純
ではないようです。
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このメールマガジンのバックナンバーは、こちらのページから
ご覧いただけます。
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■メルマガ写真館II ~フィールドで出会う~
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「カゴ仲買人の一日」
.........牛久晴香(アフリカ地域研究専攻)
写真のカゴは、ガーナ北東部で作られている「ボルガ・バスケット」
です。アフリカを代表するカゴとして、欧米や日本で、高値で販売
されています。仲買人たちは、・・・
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/2011_10.html
(写真とエッセイの続きは上記HPでご覧いただけます)
↓「メルマガ写真館」バックナンバー
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/mm/phots_list.html
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お知らせ
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ASAFASスタッフ著作出版物紹介
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■古澤拓郎(ASAFAS 准教授)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/furusawa/
『フィールドワーカーのためのGPS・GIS入門』古今書院.
編者:古澤拓郎・大西健夫・近藤康久 (2011)
【内容】野外調査にGPS・GISを導入したい人のために書かれた、大判
フルカラーの見やすい初心者向け入門書です。GPSに加え、
無料データ・無料ソフトを紹介しています。
>>スタッフの著作出版物紹介
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/publication/
publication01.html#y2011
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□Twitter 情報
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京都大学アフリカ地域研究資料センター
・・・京都発のアフリカ研究関連情報を発信していきます。
http://twitter.com/Africa_Kyoto_U
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□メールマガジンに対するご意見・ご感想お待ちしております。
http://form.mag2.com/gianoubima
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■京都大学 G-COE プログラム
:生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点HP掲載情報
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■大学院教育
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□GCOE大学院派遣報告(2011年度)
◆「18世紀南アジアにおけるイスラーム改革運動」
....石田友梨(ASAFAS グローバル地域研究専攻)
本研究の目的は、スーフィズムの修行の延長線上に、ワリー
ウッラーの政治実践を位置付けることである。このことにより、
イスラーム改革運動に対する新しい視点を・・・
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/
2011_fs_ishida_j
◆「南部アフリカに分布するモパネ植生帯における植生環境の
動態とその放牧活動との関係」
....手代木功基(ASAFAS アフリカ地域研究専攻)
申請者はナミビア北西部コリハス近郊の調査村において、
2006年から調査を行ってきた。これまでの調査から、
調査村では優占種モパネの分布が地形環境と関わって・・・
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/
2011_fs_teshirogi_j
◆"Conserving forests in privatized forest commons:
trends and management options in an Ifugao village,
Philippines"
....Adrian Albano(ASAFAS 東南アジア地域研究専攻)
In the Philippines, the national strategy to reverse
deforestation and conserve forests is through
community-based forest management (CBFM) programs・・・
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/
20111027160409195
>>大学院派遣者報告リスト(2011年度)
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/
2011list
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■10月開催の研究会※研究会活動の記録掲載をすすめています。
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■パラダイム研究会
[2011-10-17]「留学生による研究成果報告会」[第42回パラダイム研究会]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/
20111017
■イニシアティブ3
[2011-10-04]The 2nd International Workshop On South South
Cooperation (SSC) for Sustainable Development in the
Three Major Tropical Humid Regions in the World
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/
20111004_ini3
■連携国際集会
[2011-10-04]The 2nd International Workshop On South South
Cooperation (SSC) for Sustainable Development in the
Three Major Tropical Humid Regions in the World
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/
20111004-08_ja
[2011-10-08]International Workshop on Islamic and Middle Eastern
Studies: Towards a New Theoretical Framework for Understanding
Politics, Economy and Muslim Societies in the Middle East
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/
20111008-09
■国際シンポジウム
[2011-10-03] “Wallace ecosystem and biodiversity in Maluku for
sustainable,humanosphere”
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/
20111001_ja
◇シンポジウム/研究活動の記録 一覧
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/staticpages/
index.php/gcoe_report_list#IC30
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■セミナー情報....11月のおもな地域研究関連の研究会情報
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[2011-11-17]
「土器つくりの民族誌~エチオピア女性職人の地縁技術」
[アフリカセンター第183回地域研究会-H22年度京都大学アフリカ
研究出版助成記念講演]
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/
20111117_kanren
[2011-11-22]第35回東南アジアセミナー
http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/article.php/
20111122_ja
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◆編集子より◆
今号の「メルマガ写真館」と「フィールド便り」からは、調査地
の人たちと「ともに動く」フィールドワーカーの姿が生き生きと
伝わってきました。汗をぽたぽた流しながら仲買人についてカゴ
の行方を追い、見聞きした内容をノートに書きつけている懸命な
姿。暗闇の中を村人とともに息せき切ってゾウから逃げる、同じ
く懸命だけれど、こちらはちょっとユーモラスな雰囲気(もちろ
ん、文章で読めば、ですが)も醸し出す姿。ただ座って話を聞く
のではなく、二人のように、ともに歩き、走り、体を動かすこと
をとおして、次第に調査地の人たちとのあいだに信頼関係が築か
れていくのだと思います。(TS)
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◆このメールマガジンは、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究
研究科(ASAFAS)広報委員会、ASAFASフィールドワーク・インターン
シップ支援室より発行しています。
◆ご意見・ご感想を以下フォームよりお気軽にお寄せください。
掲載希望の記事や研究会の案内なども受け付けています。
宛先:http://form.mag2.com/gianoubima
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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)
広報委員会
ASAFASフィールドワーク・インターンシップ支援室
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協力:
京都大学 G-COEプログラム:生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点
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