アジア・アフリカ地域研究情報マガジン:メルマガ写真館

 

第140回 「メルマガ写真館」

「マダガスカルの星空に想う」
... 前畑 晃也(アフリカ地域研究専攻)

 

南天の星座といわれて、私たちが真っ先に思いつくのは、南十字星こと「みなみじゅうじ座」でしょう。けれど、サザンクロスの名でも知られるこの星座ですが、じつは南西諸島や小笠原諸島に赴けば、日本に居ながらにして、水平線の彼方にその姿を拝むことができます。

 

じゃあ、日本からまったく見ることのできない星座は?というと3つあって、それは「カメレオン座」「テーブルさん座」「はちぶんぎ座」です。

 

古くからヨーロッパで観測されてきた北天の星座には、ギリシア神話に現れる人物や牧畜にかかわる動物など、当時のヨーロッパの人びとには馴染み深かったであろうモチーフがたくさん登場します。

 

それに対して、航海技術の進歩を待たなければ知ることすら叶わなかった南天の星座には、帆船に積み込まれた当時最新鋭の測量機器や、奇天烈でエキゾチックな熱帯の生きものが数多く採用されているように思います。

 

まだ見ぬ新世界をめざし、荒れ狂う大海原に帆をはためかせた探検家や学者たち。彼らはいったい、どんな想いでこの星空を眺めていたのでしょうか。そんな夢想に耽りながら、マダガスカルの夜はゆっくりと更けていきます。