アジア・アフリカ地域研究情報マガジン:メルマガ写真館
第110回 「メルマガ写真館」
「森のディナータイム」
...関野文子(アフリカ地域研究専攻)
これは、カメルーン熱帯雨林に暮らす狩猟採集民バカの村での私の夕食です。
この日の主食はキャッサバと野生のヤマイモです。それに、ココと呼ばれる野生の葉を使った料理が二種類です。一つのココの料理は、バカ語でペケと呼ばれ、野生マンゴーとも呼ばれるIrvingiaのタネをすり潰したもので味付けされています。もう片方には、贅沢にも私の好きなヤシ油がたっぷりとかけられています。全部、彼らが森や畑でとってきたもので、とても美味しいです。
バカの人たちは、家で作った食事を、お隣さんや親戚など、近くの人に分けることがよくあります。私のところにも、毎日夕方になると、あちらこちらのお母さんや女の子が食べきれない程の食事を持って来てくれます。
私が夕食時に集落を廻って食事の分配について話を聞いていると、「今、ごはんあげるからお皿を持って来なさい。」「これ、後で持っていくから食べてね。」と言われることが多々あります。
人の優しさと森の恵みに感謝しつつ、彼らの「分けること」の恩恵に一番あずかっているのは他でもない私だな、と思いながら森のディナータイムを味わうのでした。