アジア・アフリカ地域研究情報マガジン:メルマガ写真館
第76回 「メルマガ写真館」
「熟した関係」
...二ツ山達朗(グローバル地域研究専攻)
私の師匠であるサイード君。
農機具の扱い方からラバの乗り方まで、いろいろな事を教えてくれます。将来の夢はアクセサリー職人で、来年高校を卒業してから村を離れ、都会の専門学校に入ります。 その彼も、この時期は黙々とオリーブを拾う日が続きます。
一人の男性が手作業で拾うことができる量は、一日60kg。 収穫期が終わるまでには、多い人で5トンの実を収穫します。
チュニジア南部では、オリーブの実は「摘む」のではく「拾う」ことによって収穫されます。熟して地面に落ちた実は、劣化や酸化するために、世界的な市場では質が悪いとみなされます。しかも、「拾う」ほうが収穫にかかる手間ははるかに増します。
しかし、村の人は 「落ちるまで熟した実が、最高の質なのだよ」といいます。
こうして作られたオリーブ油だからこそ持つ力があると、住民たちはいいます。
この地では、この地のオリーブがあるようです。
そんなオリーブと人の関係を師匠たちから学んでいます。