第62号(2008年8月配信)「メルマガ写真館」
「野生動物の行方」... 山根裕美(アフリカ地域研究専攻)
これは、生後約2か月のヒョウです。 ナイロビ動物孤児院(ケニア野生生物公社の附属施設)には、様々な理由で動物たちが保護されてきます。保護された動物たちのほとんどが一生をここで過ごすことになります。
このヒョウは、生後約10日でこの施設に引き取られてきました。母親は家畜を襲ったために、地域住民によって殺されてしまいました。ケニアでは野生動物を殺すことは法律で禁止されていますが、このような人と野生動物の問題は、人口の急増や急激な土地開発のため後を絶ちません。
貴重な野生動物を保護することは私たちへのおおきな課題であり、人間の手によってこのヒョウが孤児になってしまったのは直視しなければならない事実です。でも、野生動物に大切な家族を傷つけられたり、生活の基盤である家畜を襲われたりした人びとに、それを「がまんしろ」と、言えますか?
今、人と野生動物の問題は大きな課題になっています。野生動物と生活域を共有する人々の生活の犠牲の上に成り立つものが野生動物保護ではないのですから。