臨地教育研究による実践的地域研究者の養成

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

第61号(2008年7月配信)「メルマガ写真館」

「なぞの野菜」... 堀江未央(東南アジア地域研究専攻)

「これ、なんていう野菜?」「…ミーグワ菜よ」お母さんはせっせとすじを取りながら答えます。ミーグワ菜?聞いたことのない名前です。辞書を引いてみても、そんな野菜は載っていません。

私がその美味しさに魅せられてしまったなぞの野菜、ミーグワ菜はおなかにやさしいあっさり味で、スープや炒め物にして食べます。中国雲南省の山地に住むラフの人びとの食卓には、この野菜がしばしば登場します。辛いものが苦手な私にとって、ほぼ唯一辛くない料理といえばこのミーグワ菜。ですが、まだ中国語しか話せない私には一体どんなシロモノなのか見当もつきません。お母さんはラフ語なまりの中国語で説明してくれますが、結局なんだかよく分からないまま。ほわほわと毛の生えた葉っぱ、くるんと巻いた茎…一体何の野菜なのでしょうか。

村を去ったあと、ふもとの街の食堂で同じ野菜を発見し、「これが食べたい!」と店主に言うと、「あぁ、面瓜菜(ミエングワ菜)ね。」……ラフ語なまりのミーグワ菜の正体は、かぼちゃのつるだったのでした。庭先に生えていてお金もかからない庶民の味ですが、今でも思い出すとよだれが出る、私の大好物です。

作成日: 2008年7月27日 | 作成者: 事務局