第64号(2008年10月配信)「メルマガ写真館」
「ロウソクもぐったり」... 片山祐美子(アフリカ地域研究専攻)
朝の調査を終えて昼食にありつこうと家に帰ってくると、部屋のロウソクがうなだれていました。なぜこんなことになっているのか、瞬時にはわかりませんでした。それを見た学校帰りの妹が、部屋の中にある水瓶から水を汲んできてロウソクにかけ、つまみ上げてみましたが、30秒もたたないうちにロウソクは再び頭を垂れてしまいました。「ロウソクも暑くてぐったりしてるのよ。夜になるまで待たないと」。
西アフリカのガンビア川に面した農村で調査中の4月末。日陰の温度計が40度を超える昼間、村人たちは木陰などの涼しい場所でおしゃべりをしたり昼寝をしたりして過ごします。この暑さは夜まで続き、家の中ではすぐには眠れません。深夜2時頃まで外にあるコンクリートや竹製のベンチに裸同然の格好で寝ています。夜も更けて少し涼しくなると、誰かの一声でみんな一斉に家に入るのですが、新月の夜だと、部屋の中は目を開けていても閉じているのも同然で何も見えません。こんな時、ロウソクの灯りは必需品です。
暗闇の中でマッチを擦ると、ぐったりと垂れ下がったままのロウソクに火をつけ、寝支度を急ぐのです。