■■■ October 2024 第256号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 1,080】■■■■■■■■■
___________今月号の目次 Contents__________
□ フィールド便り.................. 祈るように遊ぶ
□ メルマガ写真館.................. 「白い机」は知っている
□ 最近の出来事.................... オープンキャンパスの開催、研究会情報
Facebook・X(旧Twitter)情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「祈るように遊ぶ」
前田夢子(アフリカ地域研究専攻)
セネガルの首都であるダカールでは、街の壁にさまざまな文字や絵が描かれています。特に、道幅の広い道路や、円形交差点の壁面には大規模で芸術性の高い絵が描かれており、道行く人の目を惹きつけます。
私は、セネガルの都市部でこのような絵を描いている人々の調査をしています。彼/彼女らは、自身が壁に描くものを「グラフィティ」と呼び、自らのことを「アーティスト」や「グラファー」と自認しています。
調査をしていく中で、私は幸運にもたくさんのグラファーに会い、共に活動をすることができました。私にグラフィティの描き方や、その精神性を教えてくれたグラファーの多くは、私と同年代の若者たちです。日本の10代から20代の若者と同じように、彼/彼女らも友人とふざけあい、家族のことを思い、恋愛をします。そのような中でも格段、絵を描いているときの彼/彼女らは真剣で、輝いています。
グラファーたちは軽やかに壁に絵や文字を描きます。この国の政治状況について、信仰する宗教について、黒人の歴史について。あるいは愛している人のことや、亡くなった人のことについて描きます。彼/彼女らにとってグラフィティを描くことは、遊びであると同時に、芸術であり、経済活動であり、様々なメッセージを伝えるためのかけがえのない活動です。
グラファーたちの手ほどきの下、実際に壁にグラフィティを描いてみて気づいたことがありました。グラフィティを描く、ということは、長い歴史の延長線上に存在している自分や周囲の人々への感謝や祈りであるのかもしれない、ということです。
彼/彼女らが描く姿、そしてその作品を見て私たちは思い出すのかもしれません。私たちの大切な人がここにいたこと、私たちがここにいたこと、そして、未来を担う若い世代がここにいることを。彼/彼女らは、今日もどこかでグラフィティを通して祈るように遊び、遊ぶように祈っています。
写真1 友人同士で半ば突発的にグラフィティ描く様子(2024年1月18日筆者撮影)
写真2 自分たちが描いたグラフィティの前で遊ぶグラファーと筆者(2024年6月21日友人L撮影)
写真3 事故で亡くなったサッカー選手を偲ぶグラフィティを描く様子(2024年6月19日筆者撮影)
(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/1040896657833831?ref=embed_post
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「『白い机』は知っている」
野口朋恵(アフリカ地域研究専攻)
日本人によるサン(ブッシュマン)研究が始まってもうすぐ60年になります。調査村には調査者が使用する様々なものが保管されていて、写真に写る「白い机」も30年以上使われている調査道具の一つです。調査者の多くが、この机を囲んで、人びとから言葉を学び、長い時間をかけて聞き取りの文字起こしをし、ときにはなんでもないような話をしながら、ともに記憶を編んできました。しばらく村に来ていなかった調査者は「え、これまだ使ってたの!」と驚き、またある調査者は「この机でずっと仕事をしていると、表面のさび模様まで覚えてしまう」と話すほど。長い年月を感じさせるこの「白い机」も、私たちの声や姿を感じては、ともに紡いできた時間をひっそりと懐かしんでいるようです。
写真1 筆者の指導教員の助手が見せてくれた24年前の写真。右側に野中健一さん、左端に「白い机」が写る。(2024年、筆者撮影)
写真2「白い机」を囲んで。中央に高田明さん(1997年、高田明撮影)
写真3 「白い机」を囲んで調査をする助手(右)と筆者(左)(2023年、高田明撮影)
写真4 一日のおわり、最近人見知りをしなくなった子どもが机のもとにやってきた。「白い机」はこの村のいろんなことを知っている。(2024年、筆者撮影)
(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/1040903877833109?ref=embed_post
(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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□オープンキャンパス情報
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〇アフリカ地域研究専攻 オープンキャンパス 2024 秋
日時:2024年11月16日(土)14時~16時30分頃
詳細・参加申込URL:https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/africa20241116/
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□研究会情報
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124th KUASS: KYOTO UNIVERSITY AFRICAN STUDIES SEMINAR
講演タイトル Wildlife and Local Knowledge in Central Africa
開催日時 10月28、29日
開催方法 ハイブリッド(対面/オンライン)
対面会場 28日―総合地球環境学研究所Conference room, 29日京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
共催:京都大学アフリカ地域研究資料センター、京都大学L -INSIGHT、総合地球環境学研究所
詳細・お申込み :https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/archives/info/124th-kuass-kyoto-university-african-studies-seminar
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ベトナムの少数民族語政策と言語使用の実態(東南アジア学会研究集会)
開催日時 2024年11月10日(日)12:00開始(日本時間)
開催方法 対面&オンライン
詳細 https://www.jsseas.org/category/news/research_meetings/
開催場所 京都大学百万遍キャンパス(吉田本町)総合研究2号館4階(東側)AA447会議室
お申し込み
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdMKoPI_9plu1v_euW9EHpPw0y9slVNlSfE8fXiaDBnXpWr_Q/viewform
問い合わせ : 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
伊藤正子 (ito.masako.8e@kyoto-u.ac.jp)
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第264回アフリカ地域研究会
日常を取り戻す—ナイジェリアにおける警察の暴力とトラウマ
講師 玉井 隆(東京女子大学 准教授)
開催日時 2024年11月21日 15 :00-17 :00
開催方法 ハイブリッド開催
対面開催場所 京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
詳細・お申込み
https://forms.gle/r5NegKH4GtpB7WqV7
※事前申し込みはZoom参加のみ・対面参加は当日直接参加いただけます
申込み締切り日時:2024年11月14日(木)12時(正午)
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■ 編集子より From the Editor
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研究助成申請ラッシュの波が一旦落ち着き、次は研究成果を学位論文という形で提出するための締め切りが迫る。研究は、知的関心を高める楽しい活動だけでなく、常にお金と締め切りとの闘い。プレッシャーを少しやわらげて元気に繋げるために、芋や栗のお菓子をどうぞ! (K.A)
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京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会
ASAFAS キャリア・ディベロップメント室
ASAFAS 次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
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協力:
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