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アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 第245

■■■ November 2023 第245号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 1,081】■■■■■■

__________今月号の目次 Contents__________

□ フィールド便り............. 哀しみはギターにのせて
□ メルマガ写真館............. 夜のカニ捕り
□ お知らせ.......................... 2023年度 アフリカ地域研究資料センター公開講座
□ 最近の出来事.................. Facebook・X(旧Twitter)情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「哀しみはギターにのせて」
宮地葵(東南アジア地域研究専攻)

 ミャンマーと国境を接するタイには、多くのミャンマー人移民が暮らしています。中には紛争や迫害を逃れ、30年以上の年月をタイで過ごしている人も。調査中に手助けをしてくれたネパール系ミャンマー人男性のAさんもそのうちの一人で、ネパール語、ヒンディー語、タイ語、ビルマ語、英語の5ヵ国語を流暢に操るマルチリンガルです。「それだけの言葉をどうやって覚えたの?」と問うと、「言語の天才だから」とおちゃめな返答が返ります。
 Aさんの故郷、ミャンマーのカチン州では軍と少数民族武装組織との戦闘が長年に渡り続いてきました。学校にはほとんど通えなかったAさんは、幼い頃は近所の市場で野菜を売っていたのだと言います。「でも、地面に野菜を並べたって売れないんだ。そして周りを見て、ああレジャーシートを敷かなければと気づいた。それが初めて学んだ商売の方法だった」。そんなAさんは、今や都市部で欧米からの観光客やタイのビジネスマンを相手にテイラーを経営するやり手です。語学も計算も経営のノウハウも、生きるために自らの力で獲得してきたと言うAさん。その傍ら、店の収益を元手にしてミャンマー人のための移民学校も運営しています。「低賃金で働かされたり、人身売買の被害にあったり、そんな連鎖を止めるためにも教育は大事だからね」。いつもユーモア溢れるAさんの目にも、時折強い想いが滲みます。
 とある日のインタビューの途中で、Aさんはアコースティックギターを取り出し私に手渡しました。楽器はやったこともないと言う私に、「いいから弾いてごらん。何でもやってみないと始まらないよ」と背中を押します。「怒りや悲しみでいっぱいになった時は、音楽が心を落ち着かせてくれる」。彼の歌声はどこか哀しくも、人生を謳歌する逞しさに満ちていました。

写真1:移民学校の生徒たちとAさん
写真2:ホスピタリティが評判のテイラー

(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid0F6v2rVRp41aphg2FYh1CSdxMARt558yUBJDCoeEjrxqFEEa9aUhrUjtzTY7aAy6xl?locale=ja_JP

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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「夜のカニ捕り」
岡野美桜(東南アジア地域研究専攻)

 パラオ南西部に位置するサンゴ礁の島、アンガウル島に滞在した時の話です。アンガウル島では日本語が公用語の1つとして定められていたり、太平洋戦争において激戦地であったりと、日本との繋がりが強い場所です。
 滞在中、19時頃になるといつも、カニ捕りに行くかと声をかけてもらいました。捕まえた陸ガニ(オカガニ類)は蒸して食べたり、ウカエブ(カニのほぐし身をココナッツミルクで煮て作るパラオの伝統料理)に加工して売るなどしていました。暗闇の中、クルマのヘッドライトと手持ちの懐中電灯で照らしながら、道を横切る陸ガニを見つけては立ち止まり、宝探しのようで楽しかったです。1~2時間後、バケツいっぱいの陸ガニと共に帰路に就くのですが、飛行場の開けた空に輝く星々がとても美しく、その光景が忘れられません。

写真1:アンガウル島の陸ガニ
写真2:パラオ都市部のレストランまで運ばれて売られるウカエブ

(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid02kapJXCmtGATqCWPh2DkVMTadqLT97qNWUq82jsrGfKyjrignovWgiGnHxBGFChESl?locale=ja_JP

(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/

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■ お知らせ Announce
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□ 2023年度 アフリカ地域研究資料センター公開講座
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◆第3回 2023年12月9日(土) 
講師:林 耕次(京都大学アフリカ地域研究資料センター・特任研究員)
15:00〜17:00(開場14:30)
京都大学稲盛財団記念館3階 大会議室
詳細 https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/archives/info/koukaikouza2023
お問い合わせ先 京都大学アフリカ地域研究資料センター
Tel:075-753-7803
manabiafrica[at]gmail.com([at]は@に変更してください)

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■ 最近の出来事 Recent Topics
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■ 編集子より From the Editor
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「あの原稿もできていない、もう3か月も締め切りを過ぎている」、「再来週から始まる授業準備、まだ全くやってない、どうしよう」。言い訳をつけて先送りにしてきた仕事たちが、毎日、心臓にギュッと爪を立て、脳内をざわつかせてきます。そんな鬱屈した精神を安らげるために、今年のクリスマスと年末年始は調査地で過ごす予定です。日本を発つ日を指折り数えながら、調査地へ持っていくお土産漁りに精を出す日々。やるべき仕事は今日も一向に進みません。(F・M)

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京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会
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    臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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