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アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 第244

■■■ September 2023 第244号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 1,094】■■■■■■

__今月号の目次 Contents_______________

□ フィールド便り.................. 私と助手と酒と
□ メルマガ写真館.................. バルカ!と言いあえる日まで
□ お知らせ.............................. アフリカ地域研究専攻 オープンキャンパス
□ 最近の出来事..................... Facebook・X(旧Twitter)情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「私と助手と酒と」
野口朋恵(アフリカ地域研究専攻)

 「日本語で1,2,3はどうやって言うんや!え!」
 調査地に入って数日が経ったある日,ひときわ強気で話しかけてきた彼女こそが現在の私の助手,マーちゃんです.ボツワナの学校でサンの子どもの調査をする私にとって,彼/彼女らの母語であるグイ/ガナ語だけでなく,国語であるツワナ語や英語が話せる,明るく快活なマーちゃんの存在はなくてはなりません.ただし,一点気になるのが,20代前半にして“大”酒豪であるということ.今日も,彼女の3歳の娘と私を居住地に残して,一人でバーに行ってしまいました. 
 1970年代以降,ボツワナの狩猟採集民サンの人びとは,政府による強制定住を迫られました.定住地では,学校や病院,水道が整備されているほか,政府からの年金や食糧配給によって,極端に生活に困ることはありません.しかし,失業率の高さが著しいボツワナ社会では,マーちゃんのように中・高程度の学歴を有する多くの若者が無職で生活を送っています.定住して教育を受ければ,より安定した生活が手に入る,そういう理解のもとにあらゆる制度や教育上のとりくみがなされているのは確かです.けれども,遊動生活から定住生活への激動の中で,サン社会における自己発展のあり方は大きく揺らぎ,生活再編をめぐる基軸の不在が,社会の鬱屈を招いているようにもみえます.目的を失った教育,鬱屈した社会を渡り歩くための酒.定住化したサンの村で酒に酔うマーちゃんの姿に,こうした矛盾を見せつけられているようにも感じます.
 その日の夕方,いつになく泥酔したマーちゃんが,道路に仰向けになって寝ていました.聞くところでは,真昼から15本の瓶ビールを飲んだらしいとのことでした.私は,千鳥足になったマーちゃんの肩を抱えながら帰路につきました.何を内面化することが,いま・ここの社会を生き抜く力になるのか.しばらくは私も彼女の『助手』として,現地に暮らしながら,その眼に映る日々をみてみようと思います.

写真1:  子どもとマーちゃん 

(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid02Upbs6VwZ8xWDaeSdyo6kgLWn7w9dYegHXjVQ1VFsCLup5HT7X1cjHZPBYU3jePNsl


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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「バルカ!と言いあえる日まで」
芦田瑞歩(アフリカ地域研究専攻)

 40度ちかくなった昼さがり、街はいつも以上に活気にあふれていました。ニジェールの首都ニアメでは、2日間にわたるイスラームの犠牲祭「タバスキ」の初日をむかえていました。街では、人びとが「バルカ!」と声をかけて祝福しあいます。初日は、みなで大きなモスクに行き祈りを捧げます。普段あまりモスクへ行かない女性たちもタバスキの礼拝では、丈の長いヒジャブを身にまとって子どもから大人まで大勢がモスクで祈りを捧げます。
 礼拝後には、神への捧げものとしてヒツジをほふり、人びとは分けあうことが習慣となっています。女性たちが総出で調理をし、家族や友人、近所の人たちとで分けあいます。タバスキの休暇中は、朝から夜までみんな大忙しです。それでもみんな笑顔で助けあうのです。ニジェールの人びとのあたたかさをより一層感じた時間でした。
ニジェールは、隣国のマリとブルキナファソとともに政治的な混乱にまきこまれています。再びみんなで「バルカ!」と言いあえる平穏な日々がもどることを願って、友人たちのやわらかな笑顔を思い浮かべています。

写真1:タバスキの礼拝後の女性たち。ニアメ最大のモスク、グランモスクにて。タバスキの礼拝では、子どもから年配まで多くの女性たちが、モスクへ行き、男性とは離れた場所で礼拝をする。
写真2:ニアメ最大のモスク「グランモスク」の外観。タバスキの礼拝に限らず、普段から多くの人が礼拝に訪れ、金曜日の集団礼拝では、大統領も礼拝するために訪れることもある。
写真3:タバスキで振るまわれたヒツジの串焼き。一緒に過ごしていた近所の方が分けてくれた。
写真4:ヒツジの煮込み料理。ご飯にかけて食べる。アシスタントやその家族、近所の女性たちが、料理を作りみなに振るまった。

(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid0bMztRnnmjDEGmqfsvTTSrDkdXYoCdGtVAhnbMuZjDV4jXc5V3vSA5cGWPwyQM1p4l

(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/

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■ お知らせ Announce
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□ 専攻別 2023年度 オープンキャンパスの開催
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◆ アフリカ地域研究専攻 オープンキャンパス 
日時:2023年11月18日(土)13:30 - 18:00ごろ
参加申込URL:https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/africa20231118/
*オンラインのみでの開催となります。   
*詳細情報と申込方法は上記の研究科ウェブサイトで公開しています。
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□ 2023年度 アフリカ地域研究資料センター公開講座
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◆第2回 2023年11月11日(土) 
講師:杉山 由里子(京都大学アフリカ地域研究資料センター・特任研究員)
15:00〜17:00(開場14:30)
京都大学稲盛財団記念館3階 大会議室(第2回11月11日のみ中会議室)
詳細 https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/archives/info/koukaikouza2023
お問い合わせ先 京都大学アフリカ地域研究資料センター
Tel:075-753-7803
manabiafrica[at]gmail.com([at]は@に変更してください)

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■ 最近の出来事 Recent Topics
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■ 編集子より From the Editor
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学生の皆がフィールド調査に出ている後期の間も、100メートルほどある稲盛財団記念館3階の廊下ではいろいろなことが起こっています。研究室側の窓ガラスは本が日焼けしないようにコーティングしてあるということで、日当たりは良いのに自然な日光が入らず植物はうまく育たないそうです。そのため、反対の廊下側の窓辺には植物の鉢植えがいくつも置かれています。最近では先生のプロジェクトの一つとしてコンポストがたくさん置かれ、学生たちが生ごみをシャベルで埋める姿も。そのお礼にサトイモや柿がおいてありました。「一緒に畑をやっているタイ人の友人からもらった」と、研究室まで新鮮な唐辛子をおすそ分けに持ってきてくれた方もいます。院生室のコーヒーの香りや夜遅くまで明かりがついているキッチン。フィールド調査の準備と執筆の間で忙しくしながらも、学生や教員がたくさんの時間を共にする「稲盛の廊下」は、もう一つのフィールドのようです。  (K.A.)    

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