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アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 第238

■■■ April 2023 第238号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 1,062】■■■■■■

__今月号の目次 Contents_______________

□ フィールド便り.................. 祭りの準備はいつからはじめる?
□ メルマガ写真館.................. ギニア湾岸アクラの歴史に思いをはせて
□ お知らせ................... アフリカ地域研究専攻 2023年度 オープンキャンパスの開催
グローバル地域研究専攻 2023年度 オープンキャンパスの開催
東南アジア地域研究専攻 2023年度 オープンキャンパスの開催
□ 最近の出来事..................... Facebook・Twitter情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「祭りの準備はいつからはじめる?」
田中綾華(アフリカ地域研究専攻)

 2022年12月10日は、エチオピア西南部に暮らすアリの人びとが新年を祝う日です。もとは、アリの農家が1年の作業を無事に終えたことを祝う祭りでした。4〜5年前からは、アリ人の有識者や行政が中心になって、この祭りをDishta Ginaと呼び、村や郡の行事として開催するようになりました。 
 調査地の村では、ひと足早く12月2日にDishta Ginaが開催されました。この村で祭りがあるのはいつなのか、と村の役人に何度も尋ねていましたが、その度に「わからない」、「ジンカの日程より前」といった答えしか返ってきませんでした。誰がいつからどのように準備にかかわるのか、私には 全くわからないまま時間だけが過ぎていきました。本当にこの村で開催されるのだろうか?と疑心暗鬼になっていた12月1日 の午後、唐突に「明日がDishta Ginaだ」と告げられました。
 祭りの会場は、カバレと呼ばれる村役場でした。12月1日午後2時すぎごろ、ぎらぎらと太陽が照りつけるなかカバレに向かうと、3人の男性が建物に絵を描く作業を進めていました。むき出しの土壁が赤、白、青、黒、緑などカラフルな色で彩られることで、一気に祭りの雰囲気が醸成されていくように感じられました。その近くでは、2人の女性が赤土から赤色塗料をつくっていました。赤色と白色の塗料は低地で入手してきた赤い土と白い土を水に溶かして、黒色塗料は古くなった乾電池を解体してつくり、指や木の枝や葉っぱを使ってペイントしていきました。彼女たちはそれぞれ足と聴覚に障害がありましたが、手際よく塗料をつくり、それを終えると刷毛を持ち、動物の落書きを描いたり消したりしながら楽しそうに土壁に絵を描いていました。
 そんなこんなで準備を終えたのは、日が暮れた午後7時ごろ。暗闇の中、懐中電灯で作業を続ける様子を見ていると、もっと早くからはじめてもよかったのでは?と思ってしまいます。けれど、準備はきちんと間に合っているし、何より彼ら彼女らが準備の時間をお喋りしたり冗談を言い合ったり楽しそうに過ごしていたのだから、まあ、こんな感じでいいのかもしれないなと思った「年の瀬」でした。


写真1: Dishta Gina(新年を祝うアリの人々の祭り)の準備のため、赤土を水で溶いて練り、塗料をつくる様子。作業台として使用している板は、エンセーテのデンプンを掻きだす際に用いる道具。 

写真2: Dishta Gina(新年を祝うアリの人々の祭り)当日の朝の様子。蒸したエンセーテのデンプンを潰し、そこに結球しないキャベツ(アリ語でエケナ(ekena))を混ぜて塩味をつけたモサ(mosa) という料理をつくっている。この料理は祭りが終わったあと、参加者に振舞われた。

写真3: Dishta Gina(新年を祝うアリの人々の祭り)の様子。観客の中央で緑のTシャツを着て踊る女性は、アリの踊りや楽器演奏を披露する音楽グループに所属するダンサー。

(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid02kYBgtNT7dXek2B5853jtLY1qacU9M9d4xaAwksorLreEvSiSnuAW2eg5oz3YMkiel

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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「ギニア湾岸アクラの歴史に思いをはせて」
法田尚子(アフリカ地域研究専攻)


 西アフリカに位置するガーナ共和国の首都アクラは、広大なギニア湾に面する沿岸都市です。沿岸部にほど近いマコラ・マーケットは連日多くの人でごった返し、熱気と活気にあふれています。熱帯の太陽が降り注ぐなか、色鮮やかな布が道の両脇で販売され、道端ではココナッツの実を慣れた手つきで剥いてもらい、味わうことができます。
 このように文化や食など様々な魅力にあふれるアクラですが、この場所はかつて大西洋奴隷貿易の舞台となっていました。アクラの沿岸部にはかつての奴隷貿易の拠点であったオス城が現在も残っており、ガイドの案内を聞きながら内部を見学することができます。このオス城では、奴隷として連れてこられた人々が光の入らない暗く狭い部屋に約半年にわたり閉じ込められ、その後目の前にひろがるギニア湾からアメリカ大陸に向かう奴隷船へと乗せられました。
 南国のきれいな景色や食だけではなく、このような負の歴史について学ぶこともアクラを訪れる上で意義があるといえます。アクラはとても治安がよく、ご飯も美味しく、人が優しい都市です。皆さまもぜひ一度訪れてみてください。

写真1:オス城の入り口付近の外観

写真2:オス城から望むギニア湾

(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid024GHoWk4iaKFjk8pxE8XVJSRTbCmaVZ8k9ViQpHXT5tMK63CPmu3QsSMD8A2yhe6xl

(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/

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■ お知らせ
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〇 アフリカ地域研究専攻 オープンキャンパス2023
日時:5月20日(土)13:00-17:00
参加申込URL:https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/africa20230520/

*オンライン会議システムZoomでの開催となります。    
*詳細情報と申込方法は上記の研究科ウェブサイトで公開しています。

〇 グローバル地域研究専攻 オープンキャンパス 2023 春
日時:2023年5月27日(土)13:30 - 18:00ごろ

参加申込URL:https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/oc-global2023may/

*対面のみでの開催となります。   
*詳細情報と申込方法は上記の研究科ウェブサイトで公開しています。


〇 東南アジア地域研究専攻 オープンキャンパス2023(Zoom開催)
日時:2023年6月10日(土)13:00-17:00
参加申込URL:https://www.asia.asafas.kyoto-u.ac.jp/news/asiaoc2023/

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■ 最近の出来事 Recent Topics
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■ 編集子より From the Editor
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 調査地のタンザニアからから帰国してまだ一ヶ月しか経っていませんが、日本の目の回るような忙しさに、すでに数ヶ月も前に帰国したような感覚になっています。そんな中、今回の寄稿を読み、タンザニアでの生活が思い起こされました。いつ通るかわからないバスを待ちながら、同じくバスを待っている見知らぬ人たちとおしゃべりに花を咲かせた時間、ザンジバルの輝く海を眺めながら過去のダウ船交易に思いを馳せた時間。どちらもとても心穏やかな時間が流れるひと時でした。
 忙しい日々の中でも、そんな時間の流れを折々で大切にしていきたい、と改めて思った新年度の始まりでした。        (M.S.)           

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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会
ASAFAS キャリア・ディベロップメント室
ASAFAS 次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
    臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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