■■■ March 2023 第237号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 1,046】■■■■■■
__今月号の目次 Contents_______________
□ フィールド便り.................. ぬるいスープの教訓
□ メルマガ写真館.................. The Last Loom
□ 最近の出来事..................... Facebook・Twitter情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「ぬるいスープの教訓」
藤本あずさ(グローバル地域研究専攻)
なかなかイスラームの儀礼に参加できる機会がなく悩んでいた私に、朗報が舞い込みました。京大からトルコ調査に来ていた先生のご縁で、テッケに同行できることになったのです。テッケとは、イスラーム神秘主義教団の信者が集う修道場です。そこでは祈りと、音楽に合わせた舞踊の儀式が行われます。
当日は初テッケに緊張していましたが、信者たちは日本からの旅人を明るく迎えてくれました。修道場はすし詰め状態です。何とか中に入ると、夕食をいただけます。男性は1階、女性は2階で食事をします。パン、トルコのハンバーグであるキョフテ、デザート、そしてしょっぱいヨーグルト飲料アイラン…どんどん出てきます。
トルコの人々は興味をもって接してくれます。お名前は?出身は?どこに滞在しているの?トルコで何をしているの?いつでもどこでも、トルコ語の教科書1ページ目がすぐに実践可能です。顔見知りか初対面かにかかわらず、お喋りは止まりません。まるで全員が親戚のようです。
テーブルに呼ばれると、女性がまだ残っていたスープを私と先生に出してくれました。
「先にお母さん」
と言うと、女性は顔が隠れるほどの大きな器を持ちあげ、その器から先生がスープをスプーンですくって飲みます。
「次にお子さん」
朗らかに女性は器を私にむけます。「ほら、遠慮せず飲みなさいね!」私と先生はどうやら親子だと思われていたようです。緊張が解け、つい笑ってしまいました。
すると、別の女性に「笑ってはいけないよ」と注意されてしまいました。実はこの日、笑うことはマナー違反だったのです。というのも、この日はテッケの長が亡くなった翌日でした。通常の儀礼は中止でしたが、それでも構わないのなら、ということで伺ったのです。
食後の掃除が終わるとセレモニーが始まります。生前の思い出を語る1階の様子が2階のテレビに中継されます。嗚咽する人、号泣する人。彼女たちの大切な時間に、共に悲しむ様子がない部外者の我々が同席していることに居た堪れなくなりました。私と先生は退出の判断をしました。
その場の温度はフィールドワークにおいて重要です。あの、ぬるいスープの教訓です。
写真:1階をテレビ中継
(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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“The Last Loom”
Sulari De Silva (Division of Global Area Studies)
This is Ashoka. He is an artisan descended from a lineage of traditional weavers in Sri Lanka. This weaving tradition which is known as 'Dumbara Weaving' has existed in a small village in the Dumbara Valley in the central hills of Sri Lanka for about six centuries. Now this community is limited to only ten families.
This is what Asoka told me the last time I met him,
“The oldest pit-loom in our house was taken to the newly built museum three years ago...In fact, only a few parts of this loom are made permanently. In that old loom, those parts were made of rare wood and decorated with floral carvings. So, I was reluctant to donate it to the museum. But then I thought, 'It will be preserved there for some time, also, anyone can see it'...I was the one who prepared the loom in the museum. My pictures are also displayed there.”
“This is a new loom I recently made in the same way.”
At present, Ashoka is the only one among these artisans who can weave with this loom.
I felt that the day was not far off when another kind of primeval way of making goods would be confined to a museum space.
Photo 1: Ashoka is weaving a shawl on his pit-loom.
Photo 2: Instead of the foot-treadles, there are two coconut shells hanging on ropes.
Photo 3: A part of the shawl Ashoka is weaving.
Photo 4: A century-old bedcloth woven on a pit-loom.
Photo 5: Another antique coverlet.
(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
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(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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■ 編集子より From the Editor
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調査から帰ってくると、日本の電車やバスの静けさにびっくりします。ネパールでは、都市部でも地方でも、バスは騒がしいことが多く、混んでいると知らない子どもが膝に急に乗せられたりします。子どももそれが当たり前のように座り、泣いてしまったら周りの人みんなであやします。地方から出てきた人が「ここはどこ?」と聞くと、みんなで「こうやっていけば早い」「いやこっちの方が早い」と言い合い、教えてあげます。バスを降りて、車やバイクの行き交う道を渡るときは、知らない人同士が何人か束になり、身を寄せ合ってゆっくりと渡ります。渡り終えると、それぞれの目的地に向かいます。
些細なことですが、帰国するといつも、その些細な時間が恋しくなります。
(Y.T.)
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ASAFAS キャリア・ディベロップメント室
ASAFAS 次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
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協力:
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