■■■ February 2023 第236号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 1,031】■■■■■■
__今月号の目次 Contents_______________
□ フィールド便り.................. ラオスの街角で「美」を重ねる
□ メルマガ写真館.................. 今日も今日とて、コピティアムに行く
□ 講演会・セミナー情報.................. International Symposium on Lifelong Sciences
京都大学アフリカ地域研究資料センター 2022年度 公開講演会
「ナイジェリアの大統領選挙の結果を読み解く」
□ お知らせ................... アフリカ地域研究専攻 2023年度 オープンキャンパスの開催
□ 最近の出来事..................... Facebook・Twitter情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「ラオスの街角で『美』を重ねる」
荻野なつれ(東南アジア地域研究専攻)
ラオスの首都から車で1時間と少し、ここはヴィエンチャン県中心部です。今日も街ゆく女性たちの高く結った黒髪に、ラオスの伝統的腰巻きスカート「シン」の鮮やかな色がよく映えます。日頃、桶を使って水浴びをする女性たちにとって自宅で髪を洗い、乾かすのは時間や労力を要することから、だいたい3日に1度、彼女たちは美容室で洗髪をしてもらいます。
ラオス語で美容室は「ハーンスームスワイ(háan sə̌əm sǔay)」。ハーンは「店」、スームは「つけ足す、加える」、そしてスワイは「美しい」という意味を表します。ひとことに「美容室」といっても規模はさまざまで、あるところは洗髪とネイルのみ。あるところでは洗髪、染髪、眉毛アートやまつ毛エクステまで。施術内容はもちろん、地理的に行きやすいから、知り合いがやっているから、シャンプーの種類が多いから、洗い方が好きだから…など様々な理由で女性たちはその日のお店を選びます。
ステイ先から近所であること、施術をしてくれる女の子と仲良くなったことから、私にもいわゆる「行きつけ」のお店ができました。私のお気に入りは6畳ほどの小さなお店。簡易型のシャンプーチェアに仰向けになると、彼女が「どのシャンプーがいい?」という問いかけとともにホースで私の髪を濡らし始めます。ときどき爪を立てて、頭皮をまんべんなく力強くシャンプーするため、はじめて施術を受けたときは「こんなに強く!?」と驚きましたが、3日に1度のシャンプー頻度ではこの強さが心地よく、いまではもう慣れっこです。
シャンプーチェアから周囲の会話に耳を傾けてみると、10代後半の女性が「新しいシンを仕立てるのよ」と自慢げに話す声が聞こえます。また、あるときには「パーマをかけたいのだけれど、値段はいくら?」という声や、5歳の女の子が「このヘアゴムがいい!」と母親にねだる声が聞こえます。この街で美容室は、単に整髪をしてもらうだけの場ではなく、美しくあることやおしゃれに関する情報交換のハブになっているのかもしれません。今日も彼女たちは少しずつ、美しさを重ねていきます。
写真1: 「行きつけ」のお店。洗髪は15,000kip(110〜120円ほど)。ヘッドマッサージを含む約30分の施術はフィールドでの気分転換にちょうどよく、頭髪も気持ちもスッキリします。
写真2: 街の大きな市場では、美容室で使用している個包装のシャンプーやコンディショナーが売られています。
(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://web.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid02nV5LCVjZiVEqVyFDKUJfQnqoQDgRQs85RwdgfLC2U16s1EN2o5ngDQ4NPL9W9fohl
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「今日も今日とて、コピティアムに行く」
楊苹(Yong Peng)(東南アジア地域研究専攻)
マレーシアにいる時は、よくコピティアム(kopitiam)に行きます。マレー語と福建語をくっつけた造語「コピティアム」、直訳したら「コーヒーの店」になりますが、コーヒーだけを売っているわけではありません。店主はコーヒーと他の飲料やトーストなどの軽食のみを売り、テナントの屋台は食事を提供する形式の飲食店です。
利用方法は簡単。席を決めたら、まずしばらく座り、「Minum apa(何飲む)?」と訊ねてきた店員に飲み物を頼みます。私がいつも頼むのは、薏米水というハトムギをコトコト煮て作ったドリンクか、ライム入りアイスティーです。ハトムギドリンクはバーリーアイス(Barley ais)、ライム入りアイスティーはテーオーリマウアイス(Teh O limau ais)と伝えたら間違いありません。そして立ち上がり、気になる屋台へ食事を頼みに行きます。「店の隅にいる、赤い服を着ている人の隣の席です」と、屋台主に小さな目印を伝えておくことは、料理がスムーズに届くコツです。
調査中の胃もたれを治す汁麺から、南国の舌を満たすナシレマッまで揃うコピティアムには、その日の気分に合う料理があるはず。明日はどこのコピティアムに行こうか、と考えながら調査しているのはここだけの話です。
写真1:クアラルンプールにある麗豊茶氷室での朝食。牛肉麺とアサリ酒蒸し麺が有名なコピティアムのようで、ほとんどのお客さんが麺食で利用していました。
写真2:クランにある168コピティアムでの夕食。早朝から深夜まで営業するコピティアムが多いため、夕食後に別のコピティアムで夜食を食べるという「コピティアムはしご」も一つの趣味。
写真3:別のコピティアムで見かけた、各屋台の異なる番号札。百数席もある大規模コピティアムでは、番号札を導入する屋台が特に多い。プラスチックコップの手作り番号札がその日のお気に入り。
(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://web.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid0DHbMSUuH4ajviiXZdMEgTD88ReBHwv6QpQG1syQKMqaGvAoYw281rCSJPmU2HUKol
(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/
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■ 講演会・セミナー情報 Lectures, Seminars
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□ International Symposium on Lifelong Sciences
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Date&Time:
9th March 2023, 10:00-18:40 JST
20th March 2023, 10:00-13:00
Venue: Shiran Kaikan, Kyoto University
Registration [The deadline: 28th February 2023]
https://forms.gle/HyxJexG8WQEM5JVeA
Program: https://www.lifelong-sci.jinkan.kyoto-u.ac.jp/2023-031920/
Organizer: Grant-in-Aid for Scientific Research for Transformative
Research Areas(A) “Lifelong sciences: Reconceptualization of
development and aging in the super-aging society“
Website: https://www.lifelong-sci.jinkan.kyoto-u.ac.jp/
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□ 京都大学アフリカ地域研究資料センター 2022年度 公開講演会
「ナイジェリアの大統領選挙の結果を読み解く」
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ナイジェリアでは4年ぶりの総選挙が2023年2月25日に予定されている。
前回(2019年)同様に全人民会議(APC)と国民民主党(PDP)の2大
政党の優勢が伝えられている。しかし、APCのティヌブ候補が健康問題
で危惧され、PDPのアブバカル候補が深刻な党内分裂の影響を受ける中、
かつて南東部アナンブラ州の知事を務めた労働党(LP)のオビ候補への関
心も高まっている。
本報告では、選挙期間中に起きた様々な出来事を整理したうえで選挙結
果を分析し、国民が下した判断は何を意味するのか考えてみたい。
日時:2023年3月9日(木)15:00-17:00(開場14:45)
場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室+Zoomオンライン
講演者:島田周平(名古屋外国語大学・教授/
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・名誉教授)
*お申込み先:
https://forms.gle/Yif2SPoeppQDLBNN6 (2023年3月8日(水)締切)
*共催:
京都大学アフリカ地域研究資料センター、日本アフリカ学会関西支部、
龍谷大学社会科学研究所指定研究「台頭するアフリカ地域大国ナイジェ
リアの総合的研究」
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■ お知らせ
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〇 アフリカ地域研究専攻 オープンキャンパス2023
日時:3月18日(土)13:00-17:00
参加申込URL:https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/africa20230318/
*オンライン会議システムZoomでの開催となります。
*詳細情報と申込方法は上記の研究科ウェブサイトで公開しています。
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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□ Facebook・Twitter情報
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■ 編集子より From the Editor
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調査地に戻る日がだんだん近づいてくると、ふと思うことがあります。町のあの雑貨屋に行って、いつものあれを買おう。行きつけのご飯屋さんでいつものあの美味しいメニューを頼もう。お店の様子だけではなく、見知った店主の顔も一緒に思い出されます。「お気に入りのお店」があること、私のことを知っている存在がいることは、調査地への親近感や安心感を高めてくれます。そして調査に疲れた時、そんなお店に行くと心も身体も少しずつほぐれていきます。
今月号で登場したハーンスームスワイとコピティアムは、学生さんにとってきっと、日々の調査を支える大切な存在の一つなのだろうと、お店で和む学生さんの姿を思い描いていました。 (M.S.)
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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会
ASAFAS キャリア・ディベロップメント室
ASAFAS次世代型アジア・アフリカ教育研究センター 臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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