■■■ October 2022 第232号 ■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 1021】■■■■■
__今月号の目次 Contents__________________
□ フィールド便り............. 「新規客」から「常連客」へ
□ メルマガ写真館............. 穀物の多様性について考える:
イタリアの食の祭典テッラ・マードレから
□ お知らせ................... オープンキャンパス、入試日程
□ 最近の出来事............... Facebook・Twitter情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「「新規客」から「常連客」へ」
北條七彩(アフリカ地域研究専攻)
「常連さんですか」。時折生暖かい風が抜ける夏の屋台で隣の席に座る女性にそう聞かれ、私は福岡市で屋台の調査を始めた半年前の自分の姿を彼女に重ねました。今では店主はもちろん、数人の常連客とも気兼ねなく会話を楽しみます。隣に座る女性はそんな私の姿をみて「常連客」と思ったのでしょう。初回の調査では、おでんの湯気で暖を取る冬の屋台で、私に「常連客」と声をかける人はいませんでした。屋台に座る私の姿はきっとよそよそしく見えていたのでしょう。
冬の調査では、とにもかくにも気になったことをノートに書き記し、ささいな疑問を逐一店主や従業員の方、来店客に聞きました。勇気を振り絞って隣に座る客に声をかけ、「だれがどこに座ったか」、「何を注文しているか」など、出来る限り記録しました。
これらの緻密な記録の積み重ねが、2回目の調査で生きました。夏の屋台では「また〇〇さんは瓶チュー(ハイ)だな」とか、「○○さんは今日もこの席に座るな」といったように、屋台で起こることがじっくりと観察できるようになりました。常連客が席に座ると、店主は「今日は?」と聞きはするものの常連客の好みの酒を出し、ネタケースから手早くその客が好んでいる焼き鳥を選びます。そのようなやりとりを、新規/一見のお客さんは物珍しく眺めます。半年前の私もそうでした。
しかし、屋台は決して「一見/ご新規さんお断り」のような閉鎖的な場所ではありません。常連客は新規客を歓迎し、「どこから来たと?」と声を掛け、新規客はそれに応えるところから会話が始まります。冬には「新規客」であった私が、夏には「常連客」と呼ばれる。私が知っている「常連客」はかつてどのような「新規客」だったのだろうか、どのような姿で屋台の席に座っていたのだろうか。両者が混在する屋台で、私は夏の屋台に座っていました。
写真1:開放的な夏の屋台の様子。
写真2:中央の座席からの眺めと筆者。
(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid09inkjyChVLCcHLbaWChBTu7NY7NkvXwH4arzzzuoyoRwKgtg6K1UTGcu2eUpozS1l
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「穀物の多様性について考える:イタリアの食の祭典テッラ・マードレから」
北野真帆(アフリカ地域研究専攻)
Terra Madre Salone Del Gustoは、イタリア・トリノで2年に1度開催される世界の食の祭典です。この祭典は、「おいしい、きれい、ただしい」食をすべての人に届けることを目標にする国際的な市民運動のSlow Foodによって組織されています。コロナ禍のために4年ぶりの対面での開催となった今年は、世界130カ国から3,000人以上の代表団が参加し、5日間で35万人が来場しました。
この祭典で、私たちは農家さんをはじめとした地元の方々と取り組んできた徳島県西部での在来雑穀品種保全活動についての展示をしました。この地域では2018年に急傾斜地農業がFAOの世界農業遺産に認定され、2021年に6つの在来雑穀品種がSlow Foodの「味の箱船」に登録されています。
Slow Foodによる活動テーマのひとつは農業生物多様性の保全です。今回の祭典では世界中から穀物の種や品種が集められ、私たちも徳島のシコクビエ(ヤツマタ)を提供しました。こうして他地域の穀物と並べて展示されることで、徳島では保全対象とされているシコクビエも、アジア・アフリカのさまざまな地域で日常的に食べられていることを実感しました。とはいえ人類が主食として利用する穀物は、米・小麦・トウモロコシに収斂しつつあります。食料安全保障や生物多様性保全を目的とする市民運動に、これから研究者としていかに関わることができるだろうかと考える機会になりました。
写真1:徳島ではヤツマタと呼ばれているシコクビエ(finger millet)は、ケニアやマラウィ、インドなどで栽培されている。
写真2:再生をテーマにした今回は、トリノの旧工場跡地でおこなわれた。
写真3:徳島で生産されたシコクビエのお菓子を食べてもらう。
(上記の写真については次のFacebookでご覧いただけます。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid0rLETdsgkjAz3RfKR5JWfDggpsq4PkM3qavZ76WLxDA1ReyRGoDBnNQyQG1hUU4Bxl
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■ お知らせ Announcements
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□ 専攻別 2021年度 オープンキャンパスの開催
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◆ アフリカ地域研究専攻 第3回オープンキャンパス2021
日時:2022年11月12日(土)14:00 - 16:30
参加申込URL:https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/africa20221112/
*オンライン会議システムZoomでの開催となります。
*詳細情報と申込方法は上記の研究科ウェブサイトで公開しています。
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□ 2023年度 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 入試日程
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◆ 第2回入学試験(*アフリカ地域研究専攻のみ)
出願期間:令和5年1月6日(金)~1月17日(火)17時必着
試験日程:令和5年2月7日(火)、8日(水)
*募集要項等の詳細は下記研究科ウェブサイトで公開しています。
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application/
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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■ 編集子より From the Editor
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学生時代、塾のバイトで「国語」の課題となる文章をとりあげるのが好きだった。短い文章なので、全体の構造や細かなレトリック、使われている語や主語の変化、そうしたものをひとつひとつ検討して解説していくことがたのしかった。自分が文章を書き始めるようになると、まったくうまくいかなかった。いまも心もとない。しかし、書き手になると、新たな読み方ができるようになる。このように書くのかと舌を巻く。読み書きに拘泥して、そのなかでふと喜びを感じる。そんなたのしみにあらためて触れた今号でした。(S.N.)
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ASAFAS次世代型アジア・アフリカ教育研究センター 臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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