■■■ June 2022 第228号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 1,005】■■■■■■
__今月号の目次 Contents_______________
□ フィールド便り.................. 金曜日はクスクスの日
□ メルマガ写真館.................. 日本の山奥にある多国籍村
□ 最近の出来事..................... Facebook・Twitter情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「金曜日はクスクスの日」
棚橋 由賀里(グローバル地域研究専攻)
クスクスは、北アフリカ発祥の食品で、現在では地中海沿岸を中心に中東や北アフリカでも食べられています。一見するとアワやキビなどの穀物のように見えますが、粗挽きの小麦粉を直径2mmほどの粒に練って作られており、世界最小のパスタとも言われています。
イスラームを国教とするモロッコでは、金曜日の集団礼拝の後、家族や近所の人たちと集まって昼食を摂る習慣があります。その団欒を彩るのが、クスクスです。写真は先日、ホストマザーが金曜日の昼食に作ってくれたものです。私も準備を手伝いながら、作り方を教えてもらいました。どんな食材を使うのかは地域や家庭によって違い、自由度も高い一方で、トマトと玉ねぎだけは不可欠とのこと。人を招くときは少し奮発して、羊か牛の肉を使うとのことで、今回は羊がメインでした。
モロッコのどこの家庭にも二段式のクスクス専用鍋があり、下段で肉と野菜を煮込みながら、その蒸気で上段のクスクスを蒸して作ります。クスクスは、蒸しては皿にあけて、水を足して酢飯を混ぜるのに似た要領でよくかき混ぜるという工程を3回繰り返します。最後に、大皿いっぱいに敷き詰めたクスクスの上に、下段の具材をきれいな放射状に盛り付けます。食材の旨味と滋味が凝縮されたスープがクスクスに染み込んで、格別な味わいになります。ルブン(leben)と呼ばれる、飲むヨーグルトに似た飲み物をお供にするのもモロッコの特徴だそうです。
この日はホストマザーと、その近所のご友人と私の3人でいただきました。世間話をしながら、たっぷり1時間半ほどかけて食べます。アラビア語のモロッコ方言(ダーリジャ)は、私にはまだ聞き取れないことが多く、会話のすべてがわかるわけではありません。けれど、クスクスを囲んで過ごしていると、少しだけモロッコの人たちとの距離が縮まった感じがします。
(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「神を神たらしめる日 ー 岩手県南部、遠野盆地より」
森内 こゆき(グローバル地域研究専攻)
12月12日は、山の神の日です。遠野では、この日は山神が山の木を数えて回っているので、人間は木を伐採してはいけないとされています。普段は森林調査や間伐を生業とされている現地の方が、今日は山仕事に代えて、長年手付かずだった山に鳥居を建てると教えてくださったので、同行させていただきました。
新しく建てる鳥居は、あらかじめ間伐材を用いて造られたもの。間伐によって日光を入れることで、森林が本来もつ水源涵養力や生物多様性を養うことができるといいます。間伐材は、薪や炭などの生活財としても利用します。この手付かずの山でも翌春から間伐を進めていくそうで、山仕事に先んじてこの山の神の日に、山中の小さな祠の下に鳥居を設えるということでした。鳥居と祠には〆縄をかざり、米と塩をまいて山神を祀りました。山主によれば、近年はこの山を整備してきた集落の方々が順々に亡くなり、高齢の女性ひとりがなんとか参詣だけを毎年欠かさず継続してくれていたのだそうです。
人間に祀られなくなった神が落ちぶれて妖怪になるのだと、『遠野物語』を著した柳田國男は考えました。神に献げる鳥居や石塔が山の麓に立ち並ぶ遠野でも、人口減少や高齢化を経て、祀られなくなった神々は多くいるようです。この日は、久しぶりに多くの人の手で山神を祀る懐かしい時間を、地域の方々と共にすることができました。(2021.12.12)
(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
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(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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■ 編集子より From the Editor
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じめじめとした梅雨の季節もあっという間に過ぎさり、真夏が近づいています。渡航の準備も佳境を迎えるのがこの頃でしょうか。人によっては実に3年振りともなるフィールド調査の機会を前に、どこかそわそわとした気持ちでいることでしょう。基本を忘れず、安全管理対策をしっかりし、いつも以上に気を引き締める必要があるのだろうと思います。いずれにせよ、地域研究とは地域があってこそ、フィールド調査も存分にできるとより良いのだろうと思うので、まさに心待ちにしてきた機会となります。無事に帰国するまでがフィールド調査。学生の皆さんの充実した調査の様子もご紹介する機会が増えると思いますので、心待ちにしていて下さい。(M.S.)
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